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番外編:貴方に逢えたから23
***
ふと目を開けたら、真っ暗闇に包まれた場所に横たわっていた。
隣で寝ているはずの健吾さんはいなくて、不思議に思いながら起き上がると、視界の先に青白く光り輝く何かがあった。
音もなく近づいてくるそれに、恐怖しか沸かない。
(火の玉とは違う光り方をしているし、幽霊の類なのかな――)
光り輝くものをよく見ようと、擦った目の感触や自分の体温を感じるのに、空間の温度を感じることができなかった。
多分これは夢の中だと悟ったときには、光り輝くものが目の前に現れた。
「あ……」
肩の長さのプラチナブロンドに整った顔立ちの男性は、神父様のような恰好をしていた。恐怖で固まる僕を和ませるように、首を傾けて微笑みながら見下ろす。
「健吾さん?」
リアルでプラチナブロンドのカツラを被って、夢の番人を演じてくれた彼を思い出したので、そっと名前を呼んでみた。
「どうしてコレが、あの男だと分かった?」
かけられた声は男性のものとは思えない高いものだったけれど、女性とも思えない声質だった。
「すっ、すみませんでした。人違いでしたよね」
「質問に答えろ。どうしてあの男だと思ったんだ」
あたふたしながら俯くと、何かで顎を上向かせられた。よく見るとそれは鞭の握る部分で、長い紐が目の前でゆらゆら揺れていた。
「ひっ!?」
「お前を鞭で打ったりしない。安心して答えろ」
「本当ですか?」
「この武器は、彼奴が夢の番人をしていたときに使っていたものだ。私の趣味ではない」
鞭を見て怯える僕を、男性はさも可笑しいと言わんばかりにカラカラ笑い倒した。
「私を信用しろというほうが無理な話だったな、悪かった。それで記憶のないお前が、瞬時にコレをあの男だと思ったわけはなんだ?」
「それは昨晩、健吾さんがプラチナブロンドのカツラを被って、夢の番人の姿を見せてくれたので」
「なるほどな。そのまま行為に及んだということか」
その後のことをずばりと指摘した男性に、ぐうの音も出なかった。じわりと頬が熱を帯びたせいで顔が赤らみ、告げられたことを自然に肯定してしまった。
「彼奴との生活はどうだ? 嫌になったりしていないか?」
微妙な態度をとる僕を気遣ったのか、男性はさっさと話題を変えてくれた。
「嫌になったりなんて、まったくないです。むしろ、一緒にいられて幸せです」
どこか鋭い眼差しで見下ろしながら、あれこれ訊ねる男性の正体に、心当たりがあった。
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