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番外編:貴方に逢えたから27

 心が温まるやりとりを思い出している僕を、創造主は微妙な表情で見下ろしながら手の中の光を消し去り、ため息交じりに告げる。 「彼奴の腹の中は、真っ黒だからな。さぞかしお前の存在そのものが、光り輝いて見えたことだろう」 「僕は、いつまでも光り輝いていたいです。彼の中にある黒いものが、全部なくなるくらいに」  さっきから健吾さんを馬鹿にする発言ばかりするので、あえてそれに乗っかってやった。 「実際にそうなったときは、輝きに満ち溢れて眩いであろうな。結果的には、お前という光が要らなくなるのではないか?」 「そのときは僕が、真っ黒になればいいだけだと思います」  意外そうな表情を浮かべた創造主を見ながら、驚くことを告げてみた。 「ふっ、やけくそになったのか」 (そう思われてもしょうがない。この会話そのものが、まるでオセロゲームみたいだし) 「僕はただ、一番好きな人の一番でいたいだけです。望むのはそれだけ――。そのために、努力を惜しみません」 「やれやれ。そろそろ別れる時分だと思って現れてみたのに、杞憂だったみたいだな」 「えっ!?」 「どこにでもいるお前に、彼奴が飽きると見越していた。これまでの交際期間を考えたら、妥当な頃合いだと思ったのだがな」  言いながら指を折っていく創造主の手元を、穴が開くようにじぃっと見つめてしまった。 「あのぅ、健吾さんはそんなに、飽き性だったのでしょうか?」 「まがい物の優しさに騙される可哀想な男たちが、彼奴が張っていた蜘蛛の糸に引っかかるように釣れていたからな。長くてもせいぜい、3ヶ月くらいと記憶している。最短で1週間だった」 「短っ……」  胸元に当てていた手で、心臓部分をぎゅっと握りしめた。  飽きられ見捨てられないようにするには、どうすればいいのか考えを巡らせてみたものの、そんな技量は僕にはなくて――。 「お前が見捨てられない理由は、何だと思う?」  創造主に問いかけられて、それについてはじめて考慮する。 (一緒にいて和むとか居心地がいいとか、そんな理由じゃない。きっと、必然的なものかもしれないな)

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