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第2話-2
映画を観た帰り、喫茶店でパンフレットを見ながら、ああだこうだと二人で話していると、同級生の佐々木が手をあげながら声をかけてきた。
「お前らもここ来てたんだ。あ、その映画みたの? どうだった?」
次々と話しかけてくる佐々木に、佑が笑いながら軽く答える。なぜか珠樹は黙ったままだった。お互いに体を叩き合い笑っていると、珠樹の肩がぴくりと動いた。珠樹にも話を振ろうと、そちらを向いた佐々木の表情が固まる。
「え、何? 怖いんだけど」
珠樹が凄い形相で佐々木をにらみつけている。佑はギョッとして珠樹に声をかけた。
「珠樹。たーまーき」
ハッとしたように佑を見る。
「え?」
「顔、こえーんだけど」
「あ、ごめん。考え事してて」
にこっと佐々木に微笑むと、彼もホッとしたように、表情を緩めた。
考え事? 無理あるだろ。
佑が佐々木に勘弁してやってくれと苦笑いを向けると、彼も苦笑して、じゃあ、と手を上げて歩いて行った。
「バカ。顔に出すぎ。お前佐々木と仲悪かったっけ?」
「だって佑取られると思って」
「ホントにバカだな。帰ろうぜ」
佑は立ち上がり、珠樹の頭にぽん、と軽く手を乗せて、そのまま先に歩いて行く。珠樹はじわじわと顔中に笑みを広げて、目をぎゅっと閉じると、自分も立ち上がり佑を追いかけた。
「あ、なんか飲みものとってくるぅえ!?」
部屋のドアを開けてすぐに振り返った佑を、珠樹は勢いよく突き飛ばした。したたかに頭を打つ。珠樹は腰の上にのしかかって、両手を佑の顔の横について見下ろしていた。さらりと髪が揺れる。
「いってえ……何すんだよ!」
無言で近づけてくる珠樹の顔を、ぐぐぐと押し返そうとすると、その手をひやりとした彼の手で軽く握られて、手のひらを舌で舐められた。
え……今、舐め……。
思わず引いた手を掴まれて、床に押し付けられる。反対の手で阻止する間もなく、何度か角度を変えながらキスをされた。歯列を割られ、中に舌を潜り込ませて、上顎を舐められる。ふっと声がもれて、佑は恥ずかしくなった。
てか何この状況。
どんどん大胆になっていく珠樹の、シャツの後ろをわしづかみ思い切り引くと、首が締まって、うっと呻きながら珠樹の顔が離れた。
「……なにしてんの!?」
「ん……キス?」
とろけたような表情で、珠樹はえへへと笑った。
「だーかーら、何で押し倒してんだよ!」
珠樹はかくんと首を傾げる。
「昨日のあれって……エッチなことしてもいいって事でしょ?」
そうきたか……!
「あっ! 自分でするとこ……見せてくれる、とか……?」
またえへへと頬を緩ませる。
くそ可愛い顔で、何言ってんだよこのやろう。
「どけよ!」
「えー……」
「どけ!」
「じゃあ、あと一回だけ……ね?」
んーと顔を近づけて何度か軽く唇を合わせてきた。
こいつ、なんか慣れてねえ?
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