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第4話-2
まだ小学生だった頃、珠樹はよくいじめられていた。女みたいな顔だと揶揄されて、幼い子供であるからこその残酷さで、一歩間違えれば大ケガをするような事もされた。
その度に佑は割って入り、珠樹を助けようとする。勝率は半々で、二人してぼろぼろになる事も少なくなかった。しかし佑は珠樹を守り続け、心配し続け、いつしか佑の存在は、珠樹にとってヒーローのようなものになっていた。
憧れる心が芽生えないわけがない。
だから珠樹は、ずっと佑が好きだった。
いつから恋愛感情になったのかはわからない。
自分を異質な物と考え、そういった感情は押さえつけて踏み潰して少しも表面に出ないように努力してきた。
だからわからなくなった。
自分は一体何を愛しているのか。
確かめたくなった。
自分が何を愛するのか。
そして佑のあの反応。
覚悟はしていた。
しかし目の当たりにすると、予想以上にダメージを受けた。後悔しても、もう遅い。
珠樹はぽとりと一粒涙を落とした。
佑にとって珠樹は守るべき存在だった。
いつも自分の後ろをついてきて、憧れの眼差しを向けてくるのだ。いい気になっていたところも多分にあった。
しかし大切な存在である事に変わりはない。
肩を並べて歩くようになっても、守っているつもりだったのだ。
いつからなのだろう。
きっとずっと悩んでいたはずなのに。
何も気づかなかった。
佑には他人の心の機微に疎いところがある。それを改めて突きつけられ、ショックだった。
一体自分は珠樹の何を見ていたのだろう。
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