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第11話

すっとナギはケンジの頬に触れる。 「涙なんか流して…」 ケンジの頬につたう、一筋の雫を拭いながらナギは顔を覗いてくる。 「え…」 その事実に驚いて慌てて袖で目元を拭うケンジ。 「どうした…?俺がなぐさめてやろうか?」 優しく誘うように囁く。 「…いえ、結構です」 ケンジは首を横に振りナギの前から去ろうとするが… 「…そう言うなよ、何かツラいことでもあったのか?ケンジ」 軽く引き止めながら聞いてくるナギ、ケンジの様子に好奇心が湧き、甘い声でナンパモードにはいる。 「っ…本当に何でもないから…構わないでください」 ケンジはキッと顔を上げて断る。 その時、ナギの後ろに見えた姿にハッとする。 (サクヤ!) そこには、トップとの話を終えて借りている個室に帰るアキラの姿。 アキラはナギとケンジのやりとりを見て…自分も見つからないように、そそくさと行こうとする。 ケンジは慌てて視線を戻すが… 「ん?何だ?」 ケンジの目線を追ってナギが振り返る。 「お!サクヤ」 ナギはアキラの姿を確かめると、素早く腕を伸ばしてアキラの腕を捕らえる… 「うわ、ちょ!」 急に引き止められ、アキラはバランスを崩して倒れかける。 「おいおい、大丈夫か?」 ナギはスッとケンジから離れアキラを引き寄せ抱きとめながら言う。 「っ!誰のせいですか!もぅ!」 抱きとめられたままナギと目線を合わせて、怒りマークを飛ばし怒るアキラ。 「まぁまぁ、そう怒るなって…綺麗な顔が台無しだ」 ナギは笑顔でサクヤに話しかける。 「…離してください!」 不機嫌に大きくため息をつきながらいう。 「まぁ、落ち着いて…それにしても久しいなサクヤ」 ナギはアキラの身体を壁へと寄りかからせ…片手を壁にあてアキラの進路を塞ぎながら言葉をかける。 「そう?二週間前にも会った気がしますけど?」 アキラが首を傾げて答えると… 「ふ、二週間もあけば、十分久しいだろ…それにサクヤと寝たのは覚えてないくらい前のコトだ…」 甘い声で囁くナギ。 「…今日もエッチはできませんよ、体調よくないんで…」 アキラはすかさず断るが… 「なんか、いつもその理由で断られてる気がするなぁ…」 難色をしめすナギに…

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