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第13話
アキラの髪や頬に両手で触れながら…静かに顔を近づけてくる。
アキラは早めに瞳を閉じてナギを待つ…
そっと、唇が触れ合い唇を吸うようにナギが何度かくちづけてくる…
そして、口角から滑るように口腔内にナギの舌が侵入してくる。
「…ん、っ」
アキラの唇を覆うように情熱的なキスを続けるナギ…
小さく声が漏れるアキラ。
(さすが…ナンパなナギセンパイ、熱烈なキスだ…)
アキラがそんな感想を抱いていると…
ナギの右手がアキラの服の裾から侵入し…胸元へ触れてくる…
「ッ!ん、ちょっと、ナギセンパイ!」
アキラは驚いて、ナギの唇から逃れ声をだす…
「っ約束守らないと口きかなくなりますよ!」
怒っていう。
「チッ…いけると思ったんだけどな…」
残念そうに囁いてアキラから素直に離れるナギ…
「ふぅ、返してください…」
髪ゴムを返してもらおうと手を差しだす。
「ハイハイ…頑固者!」
ナギは自分の髪を結んでいたゴムをアキラに手渡しながら、付け足しに僻んでみる。
「どうも、じゃ…ナギセンパイ」
髪をくくりあげて、ほっとしながらナギにバイバイして…先を急ごうとするアキラ。
「…次の撮影はいつ?」
軽く声をかける。
「…次は来年…でも、正月は休みますよ…じゃ、よいお年を…」
次と言っても、最後の撮影になるのだけど…
アキラは軽く挨拶して、ナギに背をむけ歩きだす。
「サクヤ、次は相手してくれるよな…」
ナギは約束づけするようにもう一度声をかける。
「タイミングがよかったらね…」
アキラは顔だけむけて答えて去っていく…
「チ、いい返事はなかなか返ってこないな…」
遠回しに断るアキラをみて苦笑いしながら振り返るナギ。
「アレ?…ケンジが居ない」
ようやくケンジがいなくなった事に気付くナギ、間抜けに呟いてしまう。
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