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《大晦日の朝》
12月31日…大晦日の朝。
「…ふぁー、おはよ」
まだ眠そうなアキラ。
片手で口を覆いあくびをしながら歩いてきて…
栗色の髪が軽くはねて寝起きを感じさせる。
「おはよう、アキラ…早かったな、今からパン焼くから…」
いつもより早起きなアキラに近付いて髪に触れ…優しくキスをするみずき。
「んー、慌てなくていいよ?そんなにハラ減ってないし…あ、今日朝から仕事だっけ…?」
みずきの行動を気にするでもなく、ややボーっとしながらみずきに聞く…
「あぁ、今日は昼だけ仕事、明日は1日休みをもらってるから…」
微笑んで丁寧に説明する。
「そっか…元旦は休みもらったんだな、じゃ初詣とか行きたいな…」
何気にいう。
「そうだな…でも、2人乗りのバイクで行くと、一番近い大きな神社は20分くらいはかかるだろうな…外は寒いし、大丈夫か?」
やはり心配はアキラの体調…
こういう時、自分が車の免許を持っていたら…、といつも悔やむけれど…そんな余裕はなかったから…
「20分か…ちょっとキツいな、電車とかは人が多くて大変だし…ま、いいや…寒いから家にいるよ」
あっさり諦めるアキラだが…
「…アキラ」
みずきは、アキラとひとつでも多くいろんなイベントを経験して思い出を作っていきたいから…
「…そうだ、ヨシなら車持ってるな…」
思い出したようにいうみずき。
「ヨシ?…でもアイツなりに予定あるんじゃない?」
アキラは首をかしげ聞いてみる。
「どうだろう…この前、仕事先に来て、女にふられたから構ってくれとか言ってたから…案外呼んだらくるかもしれない…」
みずきも首をかしげながら言葉を返す。
「え、アイツ振られたのか!」
アキラはその部分に興味をひかれ言ってしまう。
モデル並みにカッコ良くても振られる時は振られるんだな…などと少し笑ってしまう。
「あぁ、ヨシは長続きしない方だな、意外と…」
みずきも話をあわせる。
「そっかそっか、ならヨシに足になってもらおーかな、連絡つく?」
「あぁ、多分今日も仕事先のコンビニに遊びにくるだろう、聞いておくよ…」
みずきは頷いてアキラをみつめる。
諦めムードなアキラだったけど、やっぱり行きたかったのか嬉しそうに微笑んでいる。
「おう、絶対説得してな…じゃオレ顔洗ってくる」
そういうとアキラは奥へ歩いていく…
初詣、次はもう行けないかもしれないから…
行けるうちに行きたい、そんなふうに思いながら…
「あぁ、行こうな…」
みずきもしっかり頷いて約束する。
アキラが喜ぶことなら叶えてやりたいから…
朝食の準備をし、アキラとみずきはいつものように食事を済ませる。
そして朝から仕事のみずきは職場のコンビニへと出かけていった。
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