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第18話
『いいだろー、そっちだって俺を足に使おうとしてるしな、酒買っていくから騒ごうぜ、ルードも来るなら尚更行きたくなったし…新婚なトコ悪いなーとは思ってるんだぜ?一応』
みずきの左手の薬指にはまっているリングを差していうヨシ。
「誰が新婚だ、誰が…ったく、仕方ないなー、でも、ちゃんと明日送り迎えするって条件つきだから忘れんなよ」
『おっけー!つーか、初詣も付いていくぜ、当然!…神社周辺は車多いのに送迎だけさせられて堪るか、余計疲れるだろ!』
「あー、そう。もう勝手にすれば…」
呆れた調子で呟くアキラ。
『なんだよ、冷たいなぁ…』
不満そうに言い返してくるヨシだが…
「いいからみずきに代われって…あ、みずき酔わすんだから酒たくさん持って来いよ!」
アキラが付け足して言うと…
『はは、無理無理…じゃ、またあとで!みずき…』
ヨシは笑ってみずきに代わる。
『…アキラ?』
「ウン、まぁ、そうゆうコトで、今日は4人で忘年会な…んで明日は初詣にいく…」
アキラは出掛けることが好きなので、弾んだ声でみずきにいう。
『あぁ、判った…早めに帰るよ。ルードにヨシのことも伝えてくれ…』
食事を作ってくれるのなら知らせておかなくては、と思いアキラに頼むみずき…
「わかってるって、じゃ、仕事がんばれよ!」
『あぁ』
返事を聞いて通話を終えるアキラ。
そしてルードに電話し、夕方来るように伝えてヨシも来ることを教える…
『え?ヨシもくるのか、すっげー久しぶりだな…』
ルードは素直に驚きの声を上げる…
「ルードは、ヨシとかなり会ってなかったっけ?驚くぞ、ヨシの奴…ルード、でかくなったからな…」
アキラは電話ごしにクスクス笑う。
『確かに俺、背は高くなったけどなぁ…ヨシって変わってんの?』
「奴は全然変わってないよ、あ、フリーだって言ってたから狙われないように気をつけろよ、くれぐれも!」
アキラが念を押すと、ルードは軽く笑って…
『ははは、ないと思うけど…アキラは会ってるんだヨシと』
「そんなに会うってほど会ってないけど、なんかムカつくんだよな、奴と話してると…」
さっきの会話を思い出して少し憮然となっていう。
『はは、でも退屈しなくていいじゃん』
「まぁな、じゃ、そうゆうコトで…今日待ってるから、折角だし楽しもうな!」
アキラも笑いながら話しを終え、電話をきる。
「今年はにぎやかな年越しになるな…」
微笑み独り言をいい、ゆっくり立ち上がり、あまり散らかってはいないけど片付けを始める。
「4人か…」
この4人で仲良く集まれるようになるとは思わなかった。
一時は、みずきさえも別れるつもりで接したことがあったのに…
そういう輪の中に自分がいることも不思議で…
いつまでも続く訳ではないから…
その時その瞬間を大切にしたい…
アキラはそうぽつりと思う。
この静かな部屋で皆を待ちながら…。
《大晦日の朝》終
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