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第29話

「ウソ、ルードも義理の母親から虐待受けてたのか…知らなかったな」 ヨシはアキラの言葉に素直に驚いている。 「ルード自身最近まで知らなかったんだよ、あ、ルードが戻ってくるからこの話、終わり!」 「お、おう!」 アキラの言葉に2回ほど頷いて黙るヨシ。 そこへ、ルードが酒のツマミを3品ほど持って来て… 「あれ、なんか静かだな…どうしたんだ?」 さっき、あれだけ賑やかだったのに、沈黙してる状態が不自然にうつり聞いてしまうルード。 「えっと…」 ヨシが詰まっていると… 「べーつに、なんかコイツと話すのに疲れて…」 ひょうひょうと答えるアキラをみてヨシが… 「んだと!コラッ!」 またムカっとなって怒鳴っている。 「はは、その調子、その調子!」 テーブルに皿を置きながらルードが笑顔でいう。 「おー、うまそー、さっそくいただきます!」 ヨシは嬉しそうにツマミに手をのばす… 「ごめんな、動かせてばかりで…」 アキラが隣に戻ってきたルードにいう。 「いいって、好きでやってるんだから俺は」 相変わらずのルード、そう微笑んでいる。 「ルードはホントいい子だな」 アキラはよしよしと綺麗なルードの髪を撫でる。 「こ、子ども扱いはヤだなぁ…」 「オイ、ルード、こども扱いが嫌ならお前も酒飲めよ、温まるぜ…」 ヨシが手招きしながら酒をすすめている。 「俺?…飲んでいいんなら飲むケド…俺中1だぜ?」 「かたいことゆうなって、ルードは間違っても13才にはみえねーから」 ルードに近付いてヨシは笑いながらいう。 「それもなんかムカツクな…ヨシ、もう酔ってんの?」 少しムッとしながらルードは答える。 「ヨシ…」 みずきが止めようと声をだすが… 「みずきはヒトの事、注意できねぇだろ、中坊からタバコやってたんだからなー」 ヨシが素早く言い返す。 「……」 うっと言い詰まるみずき。 「マジ?」 アキラがじとーっとみずきをみる。 「…アキラ」 困ったふうに名前を呼ぶみずき。 「…何本くらい吸ってたんだ?」 じっとみつめたまま、アキラはみずきに問う。 「…少ない時で、1~3本…」 アキラの瞳から逃れられなくて…渋々答える。 「多いときは?」 さらに厳しくつっこむ。 「……、…ひと箱」 そんな責めるような目つきでみられて…とてもつらいみずき。 言いにくそうに答える。 「イチダース以上ってコト?はー、信じらんねー。成長期に有害なモン吸うんじゃない!バカモノ!…まぁ、今更言っても遅いけど…」 「すまない…」 「これからは極力吸うなよ、だから胃腸も弱くなって自己治癒力が低下して治りが遅いんだよ、わかった?」 アキラは少し怒ったふうにみずきにいう。 「すまない、今は吸ってない…やめたから」 アキラが怒ってしまうので取り敢えず謝るみずき。 「えー?アキラってそんなにタバコ嫌いだったっけ…」 ルードがアキラの様子をみて聞く… 「え?いやさ、みずきの無謀さにハラが立っただけ…自己管理くらいできるだろー、いくら中学生でも…」 「つーか、そこまで言うかぁ…お前、みずきだってストレス溜まったりしたから吸ってたワケだろ…」 ヨシがふと助け船を出す。 「…う、まぁ、そうだけど…」 酔ってるとはいえヨシの言葉は的を射ていて、少し詰まるアキラ。 「自己管理って、アキラだってよくカゼひいたりするじゃん…」 さらにルードまで突っこんでくる。 「…むぅ、だからオレは生まれつき免疫力が低いから、一生懸命、高めようとしてるのに、みずきは元からある免疫力を自分で下げてんだもん腹立つ!」 ふん、と鼻をならしてそっぽむくアキラ。 「…それでそんなに怒ってたのか、アキラは…」 ルードが理解して言葉を返す。

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