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第30話

「そう!だからルードも若いうちからタバコにはまるんじゃないぞ!怒るからなっ」 「はは、はいはい。言われなくても吸わないよ!アキラは健康にはうるさいもんなー」 ルードは苦笑いしながらアキラに返事を返す。 「そんなに煩いかな…」 ちょっと不本意に首をかしげるアキラ。 「みずき、お前、タバコやめたっていってたけど、そんな簡単にやめれるものなのか?タバコって、依存性強いんだろ?」 ヨシがまたまたつっこんで聞く… 「実はまだ吸ってたりして…」 ルードも冗談ぽく付け足す。 「そりゃないよ、みずき…タバコくさくないし、本当に吸ってないみたいだ…」 それになぜかアキラが答える。 「アキラ…」 みずきがアキラをみてぽつりと囁く。 「でもな、今はやめてるけど、きっとまた吸い始めるとおもうな…」 アキラは首を傾げそう付け足す。 「え?なんで?」 ルードがすぐ聞き返す。 「だって、みずきがタバコやめてる理由って…」 チラっとみずきを覗き込むアキラ。 「…アキラがタバコ駄目だっていうから…吸わない」 すっとアキラの横髪をすくって答えるみずき。 「だろ、だからもしオレと別れたならタバコやめる理由がなくなるだろ、だからまた吸い始めるってわけ」 その答えを拾って言う。 「そっかぁ…」 アキラの説明に納得するルード。 「おまえなー、仮にもみずきの居る前で、別れるとか言ってやるなよーカワイソウだろー」 ヨシが酒缶を片手にみずきを庇う。 結構飲んで見た目にも顔が赤くなってきたヨシだ。 「アキラ、これから先も俺は別れるつもりはないから、俺が煙草に頼ることはないよ…」 ヨシの言葉のあとにみずきがアキラに囁く… ヨシと同じくらいのアルコールが入っているみずきだが、こっちは見た目、全然平気のようだ。 「強気だなー、みずきー」 ヨシが笑顔で感心する。 「つーか、オレの意志ってムシなんだ…」 アキラは軽くみずきに寄りかかりかながら呟く… 「アキラは、日和見なワガママだからねー、意志とかってアテにならないんだよ…」 ようするに、人の態度や状況によってコロコロ態度を変える奴ってイミ… ルードがきっちりアキラの言葉にお返しする。 「…ルード、胸にグサリとくるよーなコト、笑顔で言うなよー」 がっくりきてアキラはみずきが飲んでいた酒を奪い取り一口飲む。 「アキラ…」 びっくりしてみずきが呼ぶと… 「これ、アルコール度5%、こんなんじゃいくら飲ませてもみずきを酔わせられないじゃん」 アキラが缶の表示を見てぼやく… 「でも、ヨシ酔ってるよ?」 そうルードがヨシを指す。 「酔ってねーって!」 ヨシはムスっと言い返すが… アキラは無視して説明する。 「ふつーはそうなんだよ、顔あかくなったり、アルコールにカラダが反応するハズなんだけど…みずきは体質的にでにくいから、じわじわアルコール度の高い酒で攻めなきゃ酔わせられないんだよ」 「ふーん…」 頷くルード。 「ちっ、ダメだな、今日はみずき酔わすの諦めたー、もっとさぁブランデーとかアルコール度40%くらいあるの買ってこいよなー」 ヨシに向かっていうアキラ。 「んな、ビンのなんか高くて買えるか!アホ!」 「ヨシのけちー!」 挑発するようにアキラがいうと、お約束のように… 「んだとー!てめーなぁ、みんなお前と同じ金銭感覚だと思うなよ!」 言い返すヨシ。 「やれやれ、なんか疲れたなー、みずき、オレ風呂入ってくる」 そのヨシを軽く無視してみずきの肩を支えに立ち上がる。 「なっ!」 無視されてさらにムカつくヨシだが…

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