30 / 145
第31話
「あぁ…大丈夫か?」
みずきは頷いて聞く…
少ししか酒を飲んでいないにしても、身体に悪いと言われているものを飲んでいるのだから…目を離すのは心配になる。
「だいじょーぶだって、みんながいるから一緒に入るワケにもいかないだろー、待ってな!」
アキラは、くすくす笑いながらお風呂場の方へ消える。
少量のアルコールでもアキラは弱いのかホロ酔いかげんだ…
「みずき、アイツいっぺん殴っていいか!」
怒りがおさまらないヨシがムカついてつい言ってしまう。
「駄目」
あっさり断られるヨシ…がっくり肩を落とす。
「はぁ…冗談だよ、かーっ!なんかムカつく!」
ひとりでヒスをおこして酒を飲みまくる。
「…ヨシ、あまり飲み過ぎるなよ、面倒みきれないぞ…」
「面倒なんか見てもらわなくてもいーですよーだ…フン!」
酒の飲みすぎか、だんだんと幼児退行がすすんでくるヨシ。
「…あーあ、ヨシ、すねちゃったよ」
なんだか子供っぽく怒るヨシをみて可笑しくて笑ってしまうルード。
「酒ぐせが悪いんだヨシは…いつものこと、これからもっと手におえなくなる…」
みずきが溜め息をついていう。
「へー、ヨシって普段カッコイイからさ、酔っ払ったらギャップが面白いよね」
ルードは素直に酔っ払ったヨシを見て楽しんでいるようだ…
当の本人は酒を口にしてはいない。
「…俺?俺がかっこいいってー?さんきゅー、ルード!おまえだけだよ、ホメてくれるのはーっ」
それを聞いてヨシは笑顔でルードに絡んでいく…
「…はいはい、ルードも飲んでー、気持ちよくなるよ」
また、ルードに酒をすすめている。
「うーん、今日はいいや、明日頭いたくなっても困るから、ヨシもほどほどにね!」
運転手をしてもらわなくてはならないから…
「はーい、つれないなぁ…」
ふっと、ヨシが引いたので…ルードはヨシから少し離れてみずきにぽそっと聞く…
「…アキラってさ、まだ裏のバイト続けてるの?」
「…?いや」
ルードの問いに少し驚きながらも答えるみずき。
「えっ、辞めた?20才までは辞めれないって言ってたのに…」
みずきの言葉に今度はルードが驚く…
「まだ、確実に辞めたわけではないけど、終撮の…最後の撮影の許可書をもらってきていたから、もうすぐ辞めれるはず」
丁寧に説明するみずき。
「へぇー、よかったじゃん。アキラも辞めたがってたし、どうして急に辞めれるようになったんだ?」
以前アキラが簡単には辞めれないといっていたのを思い出して聞いてみるルード。
「それは…」
アキラは持病を一番の理由にしている。
けれどルードには、病気のことを話していないはず…
知られたくないと言っていたから、言葉につまっていると…
「何アイツ…結局BOUS途中辞めするのかー?」
ヨシが話に加わる。
「…俺が辞めてほしいと思ったから」
みずきはポツリと言葉にする。
「だよねー、真剣に付き合っているんなら、そういう仕事って、してほしくないもんな…」
頷いていうルード。
「そういえば、ルードもなんかバイトしてるんだってなぁ、何してんの?」
もう機嫌をなおしてヨシがルードに話しかける。
「俺は服とかの雑誌の写真モデル、最近結構忙しくなったんだよ、撮影増えて」
酔ったヨシにも丁寧に教えるルード。
「へぇ、すげーじゃん、モデルかよー」
ヨシは驚いたという顔でルードをみる。
「ていうか、そんな凄いものじゃないよ、メインは服だし」
ルードとヨシが話しているのを横目にみずきは立ち上がる。
「あれ、どこいくんだ?みずき」
ルードが見上げて聞く…
「トイレへ…あと、アキラの様子が気になるから…」
みずきはそう答えていく…
「そっか…いってらっしゃい」
「ついでに一緒にはいってくれば~?」
ヨシがからかうようにルードの言葉に付け足し…みずきの返事を待たず続けて…
「俺はルードと入るからさぁー」
ルードの肩を抱いてニコっと笑っていう。
「えー?俺?」
ルードが驚いてヨシをみる。
ともだちにシェアしよう!