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第33話

「……」 みずきの言葉を黙って聞くアキラ。 「…アキラの居場所が判らなくて、日が過ぎるごとに…もう、会えないのかもしれないと…そう思えてきて、他の人と付き合ったら…アキラのことを、忘れることができるかもしれない…そんなバカな事を考えてしまったんだ…」 みずきはため息をつきながら話す。 決して忘れることなどできないのに… 「少しは忘れた?オレのコト…」 アキラは意地悪に聞いてくる。 「いいや…」 首を振りはっきり答える。 「逆に、アキラのことが…どれだけ好きだったのか、思い知ったよ…」 優しく微笑む。 みずきはアキラの髪を軽く後ろでしぼって…アキラの肩に触れ、もう片方の手でアキラの濡れた頬へ触れる。 「…アキラ、愛してる」 みずきは耳元で自然に囁いて、後ろから、そっと唇を寄せる。 「ん…みずき…?」 その唇が離れた隙に、窺うように名前を呼ぶアキラ。 「……」 みずきは言葉で応えず… 再び、唇へ触れ…口腔内へ深くキスをすすめる。 「…ンン、ッ…」 熱いくちづけが熱をもった身体をさらに火照らせる。 「アキラ…」 唇を放して柔らかく名前を呼ぶみずき。 「…誘ってる?もしかして…?」 アキラが首を傾げて微笑み聞く… 「……いや、キスをしたくなっただけ…」 身体がだるいといっているアキラに強制はできないから… けれどキスだけなら…と、もう一度軽く、くちづけを交わす。 「ふ、ずいぶん積極的なんだな…」 上目遣いに瞳を見上げていう。 「…俺も一応、顔にでないけど、酒が入っているからな…」 苦笑いなみずき。 「…酒のせいにしてるし」 そう、クスクス笑うアキラは本当に可愛くて感情の高ぶりを抑えるのに苦労する。 「さ、身体が冷えたらいけないから…湯槽につかって…」 そう、促してみずきは、雰囲気に飲まれないよう脱衣室へ出ようとする。 アキラはそんなみずきに… 「…ありがと、みずき」 もう一度、お礼をいう。 「あぁ…いつでも言ってくれ、手伝うから…」 やさしく答えて姿を消すみずき。 「ふ、ホント欲の無い奴…」 キスだけで去っていくトコロが、あるいみ尊敬できるな、そう思って笑う。 「もっと酔わせたら今より大胆になるかもな」 アキラは続けてぽそっと独り言をいう。 アキラはみずきを酔わせてみて、その行動を後でからかいたかったのだけれど、なかなか難しいようだ… 今日はルードたちもいるし、それはまた今度だな…などと勝手に思ってみずきに言われた通り湯につかる。 『みずき、おそーい!』 戻ってきたみずきに、ヨシとルードの仲良し2人組が声を揃えて言う。 「え…」 何やら勝手に想像して盛り上がってるふたり… 興味深々に笑って聞いてくる。 「なにしてたんだ~?」 「マジ、一緒にフロ入ってたんじゃねーの?」 ヨシが、ルードに聞くように言っている。 「でも、服着替えてないよ?」 「ばか、カモフラージュに決まってるだろ、きっと一回くらいヤってきたんだぜ!」 「えー!みずきってエロ~」 ヨシの言葉に笑いながら答えるルード。 「ふぅ…」 それを見て深く溜め息をついて無表情で席に戻るみずき。 ヨシは、はっとして… 「つ、つーか…つーかよぉ、冗談だからなぁ…マジで怒るなよ~」 みずきの横にコソコソ行きながら謝る。

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