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第34話
「……」
だいぶ酔ってるな、と…みずきは無言で、もう一度、溜め息をつく…
「ほ、ほらルードも謝れよ、みずき怒ってるよ~」
みずきの冷たい反応に驚いたように寄り掛かりながらいうヨシ。
「あぁ、もう…怒っていないから、少し離れてろ」
やれやれと息をついて絡んでくるヨシを押し返すみずき。
「なんでだよ~怒ってないならいいじゃんかー」
怒られても、ちょっとはにかんだようにみずきにいう。
「ふふっ!」
その様子が可笑しくて、また笑ってしまうルード。
「ヨシって、ホントみずきが好きなんだな…」
ルードの言葉にヨシは…
「あたりまえだろー、俺たちは、10年近くの付き合いなんだからなぁ…!」
ヨシはにっこり笑って答える。
「ふーん、すごいねー」
「ルードも絡まれないように離れていろよ」
酔ったヨシを相手にしたら疲れるだろうと心配してルードにいうみずき。
「だいじょーぶだよ、ヨシが酔って絡むのってみずきだけみたいだし」
「え?」
「たぶんさ、お酒飲んでじゃないとみずきに甘えられないんだよ、ヨシってカワイイよね」
「…ヨシ?」
みずきはルードの言葉を聞いてもう一度ヨシと瞳を合わせる。
「……俺、もう寝るー」
ヨシは、なんだか気恥ずかしくなって…あぐらをかいて座っているみずきに膝枕をかりて横になり目を閉じる。
「おい、ヨシ…まったく…」
猫のように丸くなって眠るヨシをみて仕方ないな、と微笑んで…
細い黒髪をくしゃくしゃと撫でて、大きな赤ちゃんをあやすように背をトントンとたたく…
「10年か…」
みずきはぽつりと呟く…
ヨシヤスと会ってからもうそんなに経つのか…
「ねぇ、こどもの頃のヨシってどんなだったんだ?」
ルードが気になって聞いてみる。
「ヨシか…はじめて会った時は、本当に同い年かと思うくらい背が小さかったな…それで、妙にオドオドして、今のヨシとはまるで違った…」
みずきは思い出すように語る。
「BOUSがきっかけ…なんだよね」
「あぁ、ヨシとは最近になるまでこうしてオフに会うことなんてなかったからな…」
外で会うようになったのは、ここ1、2年のことだ…
「そうなんだ…」
「ルードに会って…アキラと親しくなれて…ヨシとも、まぁ、この調子だ…。でも…きっと、ルードがいなかったらこういう風に集まることは出来なかったと思う、ありがとう…ルード」
「えー…そうかな」
面と向かってありがとうなんていわれたら…恥ずかしくなって首を傾げて呟く。
なんだかみずきは…やっぱり大人だな、と心で思ってしまう。
お礼なんか言われたら…
みずきに対して悪いことは出来ないし…ありがとうと言われるくらいの人間でいなきゃ…とも思わされてしまう。
そんなふうにルードが実感していると…
「フロあいたよー」
アキラが黒いパジャマ姿になって髪をタオルで拭きながら戻ってくる。
「おかえり」
ルードが笑顔で迎える。
「あー、オレの席がとられてる…むー、まぁいいや…ルードの隣いこー」
ヨシが寝転んでいるので座っていた場所が取られたのだ。
アキラはルードの横にストンと座って寄り掛かる。
「アキラ…」
出来れば自分の方へ来て欲しかったのだが…ヨシが寝てるので仕方なく、その様子を見守るみずき。
「アキラ、髪をちゃんと乾かさないとカゼひくよ?」
頭にタオルをかけたまま拭こうとしないアキラをみてルードは言葉を出すが…
「そのうち乾くってー」
ダルそうに呟くアキラ。
「ったく、仕様がないなー」
ルードは見かねてそのタオルでアキラの髪を拭いてあげる。
「いいよ、ルード…」
ぽつりと首を振ると…
「ダメ!ちゃんとしないと俺が気になるから!」
「ふ、ありがとな…」
「ところでさぁ、みずき、さっきマジで何してたの?フロ場の前でアキラと話してたのか?」
不意に気になって問うルード。
「あぁ、それは…」
みずきが答えようとした時、先にアキラが…
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