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第35話

「キスしてた…」 ぽそっと答える。 「アキラ…!」 「えー、じゃさっき言ってたコト当たってんじゃん、みずき」 ルードにじとーっと見られて慌てて取り繕うみずき。 「違う違う、俺は髪を洗っていただけで…」 「髪?」 「そう、アキラが洗って欲しいっていうから…」 ルードのいう、さっき言ったことの中に含まれる事柄を否定してみずきはルードに説明する。 そんなみずきをかわしてルードに聞くアキラ。 「さっき何言ってたんだ?」 アキラの問いに… 「ん?みずきがさ、アキラのトコに行ってなかなか戻ってこないからエッチでもしてんのかなーって話してたんだよヨシと」 ルードは笑顔でアキラに伝える。 「はは。そゆことか、うーん、どーだろうなぁ…」 微笑して答える。 「えー、マジなんかしてたのかよ~、みずきって意外とエッチなんだ」 「いや、ルード…」 納得しているルードをみて声を出してしまうみずき。 「意外と…どころじゃないって、超ムッツリスケベだぜ、みずきは!」 「アキラっ」 にわかに赤くなってみずきは声をだす。 アキラがそう思っている分にはいいのだけど、他の人に言いふらされるのは恥ずかしいみずき、慌てていると… 「いいじゃん、恋人同士ならフツーのことだろ?」 エッチだって普通のコト、ルードはのほほんと言う。 「ルード…」 ルードにはなんだか誤解されたままだけど… 今の一言には納得してしまうみずき。 「だって、みずき」 アキラは離れた場所から、みずきをからかうように微笑んで言う。 「アキラ…」 やっぱりからかわれてしまう自分だけど…アキラが笑ってくれるのならそれも嬉しい。 「でも…ホント不思議だよな」 ルードがつくづくと言った感じに言葉を出す。 「何が?」 アキラはルードに髪を拭いてもらい、お礼を言ってテーブルに肘をついて聞く… 「今更だけど、アキラとみずきが付き合ってるってことが、不思議だよ」 ルードの言葉にみずきが聞き返す。 「どうして?」 みずきが首を傾げるが… 「…なんていうか、」 ルードが言い詰まっていると… 「うん、それはオレも思うー、みずきって真面目だし、どー考えたってオレはみずきと不釣り合いなんだよな…」 アキラが可愛らしく首をかしげて頷いて同意する。 「…アキラ」 みずきは…哀しげに呟く。 「ていうか、アキラがみずきのトコに住んでるってのが不思議」 ルードがみずきの言葉と重なるようにいう。 「えー、なんで?」 やはり少し酔っているのか、語尾を伸ばしたノンビリ調子で聞くアキラ。 「…うん、だって、アキラってずっと大きい家に住んでたから、庶民の家に住んでたら違和感あるなぁ」 そんな可愛いアキラに頷き返していうルード。 「ぷぷっ、庶民の家だってー」 アキラはそのコトバにうけて吹き出し笑いをしている。 「……」 庶民の家呼ばわりされたみずきは当たっているので何も口を挟めないでいる。 「そこ笑うトコかなぁ?」 首を傾げるルード。 「でも、きっとアキラは居心地がいいから…離れられないんだよね」 ルードはにっこり笑って続けてアキラにいう。 「居心地かぁ…悪くはないな…」 アキラは首を傾げて答える。 「……」 アキラの言葉を聞いて少し落ち込んでいたみずきの気分も浮上する。 「からかうと面白いみずきいるしなー」 くすくす笑ってアキラが言葉をなげる。 「つーか、ケータイ鳴ってるよアキラ」 ルードは、さっきから着信音が鳴ってるのに出ないアキラに教えてあげる。

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