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第39話

そこへみずきが、はっきりした声で… 「違うよルード、俺の腹痛は昔からだからアキラのせいじゃない…持病っていうんだろうな」 苦笑いぎみにいう。 「…ばーか、若いのにそんなの持病にしてどーすんだよ、胃潰瘍なんかオヤジのなるびょーきだぜ」 呆れたように口にするアキラ。 「とかいって、ちゃんと心配してるトコロがアキラだよねー」 ルードは明るく言葉を投げる。 「ばっ、誰が心配なんか」 やや顔を赤くしながら怒るが… 「はは、ムキになってるトコなんか図星だからだよな!」 にこっとルードに微笑み返されて、返事に詰まるアキラ。 「ルードにはさすがのアキラも適わないみたいだな…」 微笑んでその様子をみているみずき。 「うるせー」 ふぃっと首を背ける。 ルードはそんな可愛いアキラをみて微笑んだあと、興味深々にみずきに話しかける。 「なぁ、な、聞いてみたかったんだけど、みずきって血、吐いたことあるんだよな、どんな感じなんだ?」 急に何を言い出すのかと言葉に詰まっていると… 「え…?」 「なんでそんな事、聞くんだ?ルード」 アキラが代わりに聞く。 「だってさ、俺、血とか吐いたことないから気になるんだよー、息できるの?」 純粋に聞いてくる。 「そんなこと気になるなんて変な奴だな、ルードって」 アキラはクスッと笑っている。 「そーかな?なぁ、みずき、教えてくれよ!」 みずきの答えを心待ちにするルードだけど… 「…随分、前のことだからな…」 みずきは首をかしげる。 「しかもさ、すぐ意識なくしてたから感想聞くのムリだろー?それより…ヨシの慌て振りが面白かった、みずきが倒たとき狼狽えまくって、嫌いなオレなんか頼ったりしてさ、バツがわるかったんだろーな、それから前より暴力してこなくなったもんコイツ」 眠ってるヨシの額をペシペシ叩きながらアキラが言っている。 アキラに睡眠を妨害されて… 「うーん」 と、ヨシはうなされるように眠ったまま顔を歪めている。 「…でもなアキラ、ヨシが前言ってたよ、アキラがあのとき居てくれてよかったって、凄く心強かったって…アキラの前じゃ恥ずかしくて言えなかったみたいだけど…」 ルードが伝わっていないヨシの気持ちをかわりに伝える。 「…え、」 アキラは額を叩くのをピタリと止めてマジ?とヨシをみる。 まだ、うーん、うーん、唸っているヨシ。 「マジ、だからあんまりヨシに冷たくするなよー、ヨシ、アキラのこと嫌ってなんかないんだからさ」 まっすぐに微笑みいうルード。 「……べつに、冷たくなんかしてねーし…ルード、返事に困るようなコト言うなよ」 ルードの言葉を聞いて…照れ隠しなのかちょっぴり怒ったように言い返す。 「ふ、素直じゃねーのな、アキラ。そこが可愛いんだけどね!な、みずきっ」 にこにこ、悪気なくみずきに同意を求めるルード。 「あぁ」 みずきもきっちり頷いている。 「あのなー」 アキラが、可愛いとかって、男に対しての褒め言葉じゃねーぞ、と言い返そうした時… 『ぅわッ!』 ヨシがいきなり大きい声で叫んだと思うと息を荒く切らしながら飛び起きる。 「……!?」 ヨシ以外の3人は、何事かと一瞬、言葉を無くしていると… ヨシは辺りを見回して3人を確認すると、大きく息をついて一言。 「ふー、びっくりした~!」 そう、頭を掻く… 「アホ!びっくりしたのはこっちだ大バカ!いきなり叫びやがって近所迷惑な!」 すかさずアキラがいつものようにヨシを怒ると… 「んだと!マジびっくりしたんだから、しゃーねぇだろ!」 寝起きから元気いっぱいなヨシ、早速言い返す。 「おはよー。まだ年明けてないぜ、ヨシ。なんか恐いユメでもみたのか?」 アキラが言い返す前にルードがのんびりヨシに声をかける。 「そうそう、聞いてくれよルード!ビミョーに恐い夢…」 ヨシはさっとみずきの隣であぐらをかいて… ルードの方を向いて話し出す。 「なんかさ、気付いたら真っ暗なトンネルの中にいて、出口の明かりのとこまで必死で走るんだけど、何故か頭の上にパイナップルが何個も落ちてきて、しかもそれが俺の方に向かって転がってきやがって…」 よほど恐かったのか力説する。

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