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第53話

「ハイハイ、おめでとさん!ルードと年越せて今日は最高!」 ヨシはルードの肩を寄せて唇にキスのお返しをする。 「……」 その様子を見て、無言になるアキラに… 「アキラ?」 みずきは優しく声をかける。 「みずき…」 答えたその唇へ、そっと口づけする。 「明けましておめでとう、今年もよろしく…」 柔らかいキスを終え、もっとお決まりの言葉を伝えてくるみずき。 「ふふッ、こちらこそ…よろしくな」 アキラはみずきの言葉で笑顔を戻して答える。 「あぁ、もういいか?アキラ。先に休んだ方がいい…明日のために」 アキラを心配して言葉をかけるみずき。 「ん…わかった、」 アキラはみずきの言葉に素直に頷く… けっこうツラいのだろう…だるそうなアキラを見て思う。 「じゃな、ルード…」 アキラはなんとか立ち上がり、みずきの支えを断りながらルードへ言葉をかける。 「うん!しっかり休んで風邪治せよ!アキラっまた明日なっ」 まだまだ元気なルードの頬に、軽くキスをして… 「おやすみ…」 と、声をかけるアキラ。 「うん、オヤスミ、アキラ!」 ルードもお返しにアキラにチュッと頬にキスをする。 「ホント熱高いな…明日行ける?」 その際にアキラの首に触れて…その体熱感に、そう聞いてしまうルード。 「薬飲んだし…大丈夫」 さっと言葉を返して行こうとするアキラ。 「…オイ!明日、足手まといにならないように、しっかり休めよ!」 そのアキラに、ちょっぴりつんけんした言い草で声をかけるヨシ。 ケンカばかりしているけど…一応、心配しているようだ。 「ハイハイ…わかった、オヤスミ」 こちらも、フンと、鼻をならすような受け答えなアキラだが…ちゃんと挨拶はしている。 「いくぞ、アキラ…」 寛大な心で、その様子を見守っていたみずきがそっと声をかける。 「…ん、わかった」 すっとみずきの肩を押して瞳をあわせて、奥のベッドのある部屋へ移動するアキラ。 みずきは、やはり心配でついていく… 「みずき!お茶漬け冷めちゃったけど、まだ食う?」 奥の部屋に入りかけるみずきに聞くルード。 「あぁ、すぐ戻るから…置いておいてくれ、すまない」 みずきは礼をいいながら…部屋に入り戸を閉める。 「みずき、戻ってろよ。寝るくらい一人でも寝れるから…」 振り返って、すぐ近くにいるみずきにいうアキラ。 「…あぁ」 みずきはアキラがベッドに座ったのを確認し、アキラの額にそっと手を当ててみて…首をかしげ… 何もいわずイソイソと部屋を出ていく… (…アレ) 独り、とり残されたアキラ。 なんだか、自分が予想した反応と違ったので…一瞬、呆然としてしまう。 みずきならオレが嫌がってもついていそうなのに… 「ま、いいケド…」 アキラは不納得ぎみにぼやいて、ごろんと横になり溜め息をつく…が、心はもやもやしたまま… とても寝つけそうにない。 (う゛ー…) 自分が戻っていろと言った手前、みずきを呼ぶわけにもいかないし…

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