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第56話
「ひとりはそのソファで寝てくれ、あとテーブルを向うに寄せて、そこに布団を持ってくるから…」
みずきは2人に言ってキッチンでアキラのために氷枕を用意する。
「アキラ、そんなに熱高いの?」
ルードが心配して聞いてくる。
「まぁ、少しな…」
みずきは頷いて作った氷枕を持って寝室に戻る。
「……」
アキラは良く眠っている…
起こさないように後頭部を少し浮かせ氷枕を入れ込む…
首筋は熱を帯びてかなり熱い…
「ん…」
軽く息をつくアキラだけれど…
起きることはなかった…
ひとまず安心してみずきは立ち上がり…
押し入れの中にある布団を持ち出す。
今度はヨシたちの世話が残っているから…
「ほら、ヨシ、これを敷いて寝ろ…」
床に座っているヨシに声をかける。
「おー、サンキュ!みずきも座れよ、茶漬け冷めてるぜ!」
ヨシは布団を受け取って敷いてその上に座って呼ぶ…
邪魔者がいなくなったからかちょっと機嫌が良いヨシ。
ルードはちゃっかりソファに横になって…置いてあった雑誌に目を通している。
「あぁ、お前は?」
みずきはヨシの隣に座りながら聞く…
「ん?茶漬け?もうとっくに腹ん中だぜ、みずきも早く食わねーと俺がいただくぜ?」
ニッと笑っていうヨシ。
「やはり、狙ってたのか…」
「やはりってなんだよ、やはりって!」
こらこら、とヨシが言うのをみて…
「やらないからな」
ふっと微笑んでいうみずき。
「はいはい、横取りはしないって、ったくー」
「欲しいならまた作ってくればどうだ?」
そう勧めるみずきだが…
「いいよ、メシがないみたいだし、それよりさ、話しようぜ、話!」
みずきを独り占めできるチャンスに、ここぞとばかりに話かけるヨシ。
「俺と話していても、たいして面白くないだろ…」
みずきは首をかしげて言うけれど…
「なんで?…俺な、一回みずきに聞いときたい事あったんだけど、聞いていい?」
気にせず話を続けるヨシ、酒のおかげもあって機嫌よく聞いてくる。
「…?何を?」
風呂に入って酔いが覚めたのかと思えば…まだかなり酔っているのか?などと思いながら聞き返す。
「みずきにとって、俺ってどういう存在?」
「……は?」
唐突な質問に聞き返してしまう。
「ぷぷーっ」
後ろで吹き出し笑いする。
「んな、笑うなよルード、お前がさっきあんなこというから気になったんだろ…」
ヨシはルードの背中をポンと叩きながらいう。
「あんなこと?」
みずきが聞き返すと…
「ルードがみずきは俺の事、眼中にないみたいだっていいやがるから、そんなわけねーって…」
「だってさ、みずきにとって、アキラは恋人だろ、俺はアキラを狙う要注意な奴だろ、ヨシって…その点、何もないからなーって少し思っただけなのになー」
ルードは軽く笑っていうけれど…
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