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第62話

「あ、もしかして…」 それを聞いてみずきも気付く… 「そ、けんじさん。今日が誕生日なんだ」 「元旦が…?」 「うん、元旦が」 にっこり笑って返されると…次の言葉に詰まってしまうみずき。 ふと、宙を見つめ話しだすアキラ。 「『…元日なんかに生まれて皆に、生まれた時から迷惑かけたらしい…でも、子どもというのはそれでいい、世話をかけない子どもなんていない、だから、気にしなくていい…』ってさ…よく、オレが子どもの頃、けんじさん…こう言って元気付けてくれてたんだ、オレの思ってる事とか見抜いてな…」 自分が親に避けられる理由が、まだ分からない頃… 自分の行いを責めていた時があった… そんなときは、すぐ気付いてくれて言葉をかけてくれた健次さん… だからその頃から誕生日には決まってあるものをプレゼントしているのだ… はじめは、お礼というより…唯一、優しかった健次さんに忘れられないように、自分の存在を強く印象つけようとしてはじめたものだったけど… 「…そうなのか、けんじ先生は俺もいい先生だと思うよ」 みずきの言葉に嬉しそうに頷く… 「だよな、…な?別にお前が気にする相手じゃなかったろ」 あっけらかんと聞いてくるアキラに… 「…それはそうだが…でも、やはり少し羨ましいな…」 そっと頬にキスを落として、そう囁くみずき… 「ばか…、みずきにもクリスマスプレゼントあげただろー」 近くにきたみずきの前髪をくしゃくしゃと触りながら…笑うアキラ。 「あぁ…あと、ずいぶん前に腕時計も貰った」 自分がまだBOUSにいる頃… いつものように絡まれていたアキラを助けたらお礼にと、くれた高価そうな銀の腕時計… それからほぼ肌身離さず持っていたほどで… 「はは、2年くらい前ダロ、まだ使ってるもんなー…腕時計って案外、長持ちするんだ…」 感心していう。 「…アキラから貰ったものだから大切にするのは当然…」 頷いていたずらなアキラの手を握り言葉を続ける。 「毎日仕事に付けていっているから、今ではなくてはならないものになっているよ…」 優しく微笑んで答える。 「そんなに気に入って使って貰えたんなら、時計も本望だろーな…」 くすくすと笑って…みずきの手から逃れながらいう。 「アキラ…」 触れていたいのに逃げられて…ちょっと悲しいみずき。 そっとアキラの頬へ触れて…親指で、その可愛らしい下唇をなぞる。 「…したい?」 それはみずきがキスを求める時の癖…。 口ベタなみずきは言葉にするよりも…仕草で伝えてくる時の方が多いのだ。 みずきは、意地悪なアキラの言葉にもめげず…綺麗なアキラの瞳を見つめ短く頷く。 「でも、おはようのキスはさっきしたしなー」 わざとらしく、ふいっと視線を外して答えると… 「…俺からは、まだしていないよ」 おはようのキスを…。 みずきは優しく微笑み…アキラの反応を待つ… 「ばーか、いーよ。別に、付き合ってるんだから…エンリョはナシだろ?」 キスくらいしたいときにしたらいい…

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