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第63話
「アキラ…」
アキラの髪をそっと撫でて静かに頷くみずき。
「…あ、でも、今日出掛けるんだから、エッチはナシだからな!」
今日はキスだけとストップをかける。
「あぁ…わかってるよ」
言われなくとも…
絶対アキラに無理はさせないから…。
しっかり頷いて…アキラの顎を持ち…
そっと一度、口づける…。
いったん離れ、長い睫毛…綺麗な深緑の瞳を閉じて待つアキラを間近で見つめる…
自分も瞳を閉じてしまうのが勿体ない気がして…
再び唇を重ねた時は、ぎりぎりまでその姿を捕らえたまま…
柔らかいキスを交わしていく…
そのまま、深いキスヘ…
「…ん、…は、ぁ」
ゆっくり…決して激しくならないよう…
抑えながらのディープキス…
合間に息をつくアキラがなんとも艶っぽくて…
みずきはやはり身体の芯が熱くなる。
「…、ん…」
やばくなる前に…そっと唇を離すみずき。
「ん、…おしまい?」
余裕のないみずきとは違い…
瞳を合わせて微笑みながら、まだまだ余裕だと言わんばかりに軽く聞いてくるアキラ。
「……ごめん、おはよう」
やはり勝てないな…と内心呟きながらアキラを抱き寄せる。
「じゃ、オレ、そろそろ起きるから、ルードたちも気になるしな…」
アキラは完全に目が覚めたので、出掛けるため落ち着かないのか起き上がる。
「あ、あぁ…それなら俺も」
みずきも起き上がろうとするが…
「みずきは、もう少しゆっくりしてろって、全然休みないんだから」
アキラはそう言ってみずきに微笑むと…
布団から出て、素足でペタペタ歩いていき、クローゼットの中にしまってある新しい服を取り出して、おもむろにパジャマのズボンを脱ぎ始めるアキラ。
「……!」
アキラの動きを目で追っていたみずきは、少し慌てて目を逸らす。
アキラは着替えようと思ったら、みずきが見ていようとお構いなしに着替えはじめるから…困ってしまう。
人の着替え姿などあまり見ないみずきだから、好きな人の着替える姿など…なおさら凝視できずいつも、ひとりあたふた目を逸らしてしまう。
それをよくアキラはからかって来るのだけど…
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