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第64話
ちらっと様子をうかがうと…
今日は大人しく着替えているようだ…と思いきや、上の服を着終えて、ズボンを履こうとしたとき…
「あっ!」
急に声を上げるアキラ。
「な、なんだ?」
今度は何事かと…
ハテナを飛ばし、アキラの顔を見ながら聞いてみるみずき。
「忘れてた、コウジたちに連絡するのを…今、何時だっけ…?」
アキラは、ズボンをほっぽって、みずきの方に寄ってきて聞く…
「あ、あぁ…えーと、10時前だな…」
みずきは目のやり場に困りながらも、ちゃんと答える。
「げ、10時かぁ…オレのケータイは…あ、あっちだな」
アキラはそうぼやいている。
アキラの携帯電話は隣の部屋の机の上だ…。
「あぁ…」
みずきは頷きながらも、心では、早くちゃんとした格好をしてほしいと願う。
アキラの今の格好は…
大きめサイズの水色系チェックのカッターと、上から、また大きめの白に青の文字入りフードつきトレーナーを着ている…
が、ズボンを着ていないため…太ももがむき出しのかなりきわどい姿…
サイズが大きいため下着が見えることはないが、襲ってくださいといわんばかりのアキラ…
朝からそんな姿を見れて嬉しいような…辛いような…
理性を優先させなくてはならない、みずきの胸は、虚しくドキドキしっぱなしだ。
そんなみずきを少し観察したあと、アキラは…不意に立ち上がり…
「取ってこよー」
そう呟いてルードたちのいる隣の部屋の方へ歩きだす。
「ち、ちょっと待て!」
その行動に驚き、ベッドから出て大慌てで止めに入るみずき。
そんな格好でヨシやルードの前にでると思うと気が気ではない…
「ふふ。冗談だって、面白かった!」
そうくすくす笑うアキラ。
やっぱりみずきはアキラのオモチャになってしまうのだった。
「っ、はぁ…」
そんなアキラに苦笑いな溜め息のみずき。
アキラはさっさとズボンを履いて…みずきの傍に寄って来て、微笑むと…
「…みずきのえっち!」
ぽそっと耳元で囁いて…
「な、…ん!」
アキラはマイペースに口塞ぎ攻撃を仕掛け…
みずきが動揺している隙に、さっと脇をすり抜け、ポンとみずきのおしりを叩いて…
「へへ…頭冷めるまで、ゆっくり寝とけよ!」
そして、さっさと歩いて行ってしまう。
そんな可愛い笑顔でトドメをさされると…
「アキラ…」
何も言い返せなくなるのがみずき。
ちょっとだけアキラに仕返し出来ればな、などと心で思ったりするけれど…
やっぱりそれはできなくて…
それはアキラのいたずらには、困ってしまうけれど嫌ではないから…
それでアキラが満足して笑ってくれるなら、いくらでもからかわれたいくらいだから…と結局は思ってしまう。
みずきは言われたとおり、布団に戻ってしばらく…やや紅くなった顔を冷ましてから、みんなのもとへ戻るのだった。
《元旦の朝》終
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