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第66話
「な…っ、してねぇよ!」
慌てて首を振るヨシ。
「そうそう、叩こうとしてたぜー」
ルードも頷いてアキラの味方をする。
「……」
みずきはヨシを注意するようにじっとみる。
「違うって、本気で叩くわけねぇだろ!フリしただけだつーの!」
(ムカつくから叩きたくなるけど、マジなぐったらみずきに嫌われるし…)
後からボソボソと呟く。
「……、それじゃ…行くか、待たせたら悪いから」
それを目にとめ、みずきはやれやれと息をついて、みんなをまとめ、出発を促す。
「おう、行こ、行こ!」
みずきの言葉に乗り気で答えるアキラ。
入口に置いてある白い毛糸で編んである帽子を深くかぶっている。
髪をおろしているアキラ…
その姿は…かなり可愛い。
今日のアキラは比較的、Sportyな男の子な格好だったけれど…
「……」
みずきは、アキラの姿を褒めようと言葉を探す。
可愛いという形容詞があっているけど…
アキラはあまり可愛いと言われることは好かないみたいなので取りあえず、似合っている…と、しかし、みずきが声をかける前に…
「アキラ!可愛いじゃん、それっ」
ルードに先を越されてしまう。
さらにルードはアキラに寄って行って…
「なんでも似合うな、アキラって!」
「そっか?元旦って寒いから…ほら、手袋とマフラーも…」
なんだかんだ言って、ルードから褒められると嬉しい。
可愛いと言われても笑顔で返す。
台の上に用意しておいた手袋とマフラーも暖かそうな素材で作られている。
アキラは白が好きなのか、だいたい白か水色系で統一してある。
「俺だって帽子くらいあるぜ」
ヨシが負けじとコートのポケットから黒と緑ベースに青のロゴ入り帽子を取り出しかぶって…
「こんなモンもな、どーだ?」
そう言って、結構カッコイイ、SNOWサングラスをさっとかけてみせる。
「おー…カッコいいっ!」
ルードは素直に褒めてあげる。
その反応にヨシは嬉しそうに笑う。
言う通り、ヨシは顔が整っているのでモデル並にカッコイイ。
「け…」
アキラは面白くないと無視すると…
「コラ、なんか感想はねーのかよ?アキラ」
ヨシはちょっと待てと、アキラに対抗心から…わざわざ聞かなくてもいいことを聞く…
「…バーカ、てめーなんかよりみずきの方が格好いいゼ…な!」
アキラはみずきの服を軽く引っ張って話し掛ける。
「えっ…」
みずきはアキラに話かけるタイミングを失って少し寂しく3人の会話を見守っていたとこへ…
急に話題のなかに呼ばれて驚く…
しかもアキラに呼んで褒めてもらえて、かなり嬉しい。
アキラは、みずきに軽く笑いかけ…
「この服、オレが選んだんだぜ、ちゃんと帽子も手袋もカラー、統一させてるから似合うだろ?」
みずきはアキラ仕立ての服に身を包んでいる。
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