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第68話

「それもそうだな。行こ、行こー」 アキラはあっさり頷いて外へ出る。 「ちぇっ…」 ルードはみずきをちらっと見て舌打ちしてアキラを追って行く。 みずきはやれやれと息をついて2人の後を追うのだった。 ヨシの車は、けっこう大きい7人乗りのパールホワイトのワゴン。 それぞれ乗り込み、コウジたちが待っている元アキラの家までは車で3分もかからない場所… あっと言う間に到着する。 そして、アキラが携帯で2人を呼び出す。 「お。きたきた、コウジ!こっち」 アキラは、車の中から歩いてくる2人を手招きして呼ぶ。 「アキ兄、みんなも明けましておめでとー、ごめんね、お邪魔しちゃって」 ヨシの車の三列目に乗り込みながら挨拶するコウジ。 「はいはい。おめでとさん」 アキラは、微笑みながら軽くコウジに返事する。 アキラと同じく帽子をかぶり可愛くまとめた、あったかそうな服装だ。 そのすぐ後ろから元気の良い声がかかる。 「お兄さん、おめでとーゴザイマス!あ、彼氏さんもどーもッス!」 けっこうラフなセーターとマフラー姿の瞬助… 取りあえずアキラに握手しながら挨拶する。 「元気いいなぁ、お前は…寒くないのか?」 自分と比べかなり軽装な瞬助に思わず聞くアキラ。 「はい、鍛えてますから!」 笑顔で答える瞬助。 「もう、瞬!早く座りなよ…車動かせないでしょ」 アキラに瞬助が仲良くすると、やはりちょっぴりカリカリして呼ぶコウジ。 「はは、分かった分かった…」 軽く笑って三列目の座席、コウジの隣に乗り込む瞬助。 続けて… 「あっ、外人!? Hey! Happy new year!」 助手席から瞬助たちの様子を伺っていたルードに向かっていきなり声をかける。 「えっ!?あ、えっと…ハッピーニューイヤー?」 ルードは驚きながらも言葉を返す。 「あれ?反応が日本的だな」 などと首を傾げている瞬助。 「馬鹿!もう、ルード君は日本育ちなの!いきなり何言ってんのさ…」 コウジはすかさず、瞬助の後頭部を叩く… 「いてっ…ちょっと外人に英語で言ってみたかっただけだって」 「ごめんね、ルード君」 「ううん、いいよ。俺、見た目これだから、よくアメリカの人とかから話かけられるんだ、今度行く学校も英語話すらしいからアキラに教えてもらってるんだよ」 ルードは真ん中の2人かけ座席にみずきと並んで座るアキラの方をちらっと見て明るく言葉を返す。 アキラも軽く頷く。 「そうなんだ、でもルード君、前見た時よりまた大きくなったね」 「そーなんだよ、身体だけはでかくなってさ」 楽しく会話しているルードとコウジを見て… 「ふーん、お前がルード君だったのか…コウジは俺のだから絶対手、出すなよ」 何を勘違いしたのか…軽く嫉妬心を燃やしてルードに言う瞬助。 「な、なに言ってんの瞬助っ!もう…ごめんねルード君…」 恋人のアホな発言に呆れながらルードに謝る。 アキラがちょっとウケて吹き出し笑いをしている。

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