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第69話
「ははっ、うん知ってる。大丈夫だって、コウジは友達だから。しかも俺、アキラが好きだし」
勘違いなコウジの彼氏に笑顔で答え、さらっと好きな人を言う。
「……」
アキラはその言葉を嬉しい気持ちと複雑な気持ちで聞き流す。
「あ、そうかー、悪い悪い!お兄さん綺麗だもんな!」
なははっと笑いながらごまかして、そんな事を言う。
「はぁ…人見知りってものをしないんだから…ごめんねみんな、騒がしくして…」
なんだか手のかかる子の親の心境で謝ってしまうコウジ。
「いいって、コウたちが来たおかげで、こっちのうるさい奴が黙ってるからな」
アキラは運転席を目で指して言う。
「てめ、誰の事言ってんだよ!」
車を走らせながらムスっと言い返すヨシ。
「わかってんじゃねーか…」
くすっと笑うアキラ。
「そういえば、誰?アキ兄の友達?」
コウジが何気なく聞くと…
『だれがっ!』
ヨシとアキラは勢いよく言い返してくる。
「そ、そんな…声を揃えて言い返さなくても…」
ちょっぴり引くコウジ。
「こわー」
隣の瞬助も冗談まじりに声を出す。
「ははっヨシとアキラはいつもケンカしてるからなー、でも…ホントは仲いいんだよー」
ルードはアキラたちに、そんなことを言う。
「なっ」
「絶対違う!」
ルードの言葉にヨシが詰まっているうちにアキラが首を振ってしっかり否定する。
「そーだぜ、誰がこんな奴と仲いいんだ。こえーよ」
ヨシもちょっと不機嫌になり負けじと言い返す。
「よ…よくわからないけど、アキ兄とは険悪なんだ…じゃ誰の知り合い?」
コウジは成り行きをみながら言葉を出す。
「奴は、みずきのダチ!今日は足になるから呼んだんだよ…」
そうアキラは隣に座っているみずきを見る。
「てめ…」
運転しながらムカつきつつ言うヨシ。
「…名前は北上ヨシヤス、俺と同い年だ」
ヨシが自己紹介をしそうになかったので代わりにみずきが紹介する。
「じゃぁ。アキ兄より、年上なんだ…はじめまして、楠木コウジです。こっちは同級の幸田瞬助。今日はよろしくおねがいします」
コウジは丁寧に挨拶する。
「お、おう…」
ヨシはぎこちない返事をコウジ達に返すが…
「ふっ」
そんなヨシがおかしくてルードとアキラが軽く吹き出す。
「えっ?僕…なんか変な事言った?」
急に吹き出し笑いをするアキラたちに驚いて聞いてしまうコウジ。
「いや…変じゃないけど、変だよなー」
助手席から後ろを覗きながらルードは言う。
「は?どっちなのさ」
コウジは困ったふうに首を傾げる。
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