69 / 145
第70話
「すいませーん、会話についていけませんでーす」
瞬助も続いて声を出す。
「ま、気にすんな、それより今日はいないんだな、珍しい…」
アキラが後ろの2人を見て言う。
「え?あぁ、たくみの事?正月だし、実家にいるよ。さすがに付き合わせられないしね」
アキラの問いに頷き答えるコウジ。
「そーなんスよ!せっかく2人で初詣行けると思ったら、コイツは2人だけじゃ行きたくないって…どー思います!?」
コウジの言葉が終わるのと同時にアキラに力説する瞬助。
「はは、それでオレたち呼んだのか…」
アキラが納得していると、今度はルードが首を傾げて…
「えー?なんでコウジ、2人で行くのどうして嫌なんだ?こんなにカッコイイ彼氏なのに…」
不思議そうに聞く…
「いやー、どうも、どうも…」
瞬助は褒められたので照れたしぐさで頭をかく。
(もう、お調子者!…格好良いから人が沢山いる場所に連れていきたくないのに…)
コウジは、そう思って溜息をついてしまう。
「ていうか、恋人たちのイベントデートは、ことごとくお荷物付きなんスよ!コレ、本気悩みますよ!俺としては…」
この際にみんなを味方につけてコウジを説得させようと、瞬助は言葉を弾ませるが…
「瞬とは寮が一緒なんだから、外まで2人きりじゃなくてもいいでしょ?」
負けずと反論するコウジ。
「じゃ、何か!寮が別なら2人でデートするって事かよ?」
「そう言うコト言ってるんじゃないでしょ!」
なんだか2人で言い争いになる瞬助とコウジ。
「はいはい!痴話喧嘩は帰ってからやってくれ」
アキラは、やれやれと2人のけんかを止める。
「な、どこが痴話げんかなのさ!」
コウジだけが反応して否定するが…
「はーい、お兄さん!」
片手を上げてにこやかに愛想している瞬助…
コウジは大きく溜息をつく…
(どうにかしたい…彼の性格を…)
コウジの気苦労はたえないのだった…。
《初詣へ》終。
ともだちにシェアしよう!