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第70話

「すいませーん、会話についていけませんでーす」 瞬助も続いて声を出す。 「ま、気にすんな、それより今日はいないんだな、珍しい…」 アキラが後ろの2人を見て言う。 「え?あぁ、たくみの事?正月だし、実家にいるよ。さすがに付き合わせられないしね」 アキラの問いに頷き答えるコウジ。 「そーなんスよ!せっかく2人で初詣行けると思ったら、コイツは2人だけじゃ行きたくないって…どー思います!?」 コウジの言葉が終わるのと同時にアキラに力説する瞬助。 「はは、それでオレたち呼んだのか…」 アキラが納得していると、今度はルードが首を傾げて… 「えー?なんでコウジ、2人で行くのどうして嫌なんだ?こんなにカッコイイ彼氏なのに…」 不思議そうに聞く… 「いやー、どうも、どうも…」 瞬助は褒められたので照れたしぐさで頭をかく。 (もう、お調子者!…格好良いから人が沢山いる場所に連れていきたくないのに…) コウジは、そう思って溜息をついてしまう。 「ていうか、恋人たちのイベントデートは、ことごとくお荷物付きなんスよ!コレ、本気悩みますよ!俺としては…」 この際にみんなを味方につけてコウジを説得させようと、瞬助は言葉を弾ませるが… 「瞬とは寮が一緒なんだから、外まで2人きりじゃなくてもいいでしょ?」 負けずと反論するコウジ。 「じゃ、何か!寮が別なら2人でデートするって事かよ?」 「そう言うコト言ってるんじゃないでしょ!」 なんだか2人で言い争いになる瞬助とコウジ。 「はいはい!痴話喧嘩は帰ってからやってくれ」 アキラは、やれやれと2人のけんかを止める。 「な、どこが痴話げんかなのさ!」 コウジだけが反応して否定するが… 「はーい、お兄さん!」 片手を上げてにこやかに愛想している瞬助… コウジは大きく溜息をつく… (どうにかしたい…彼の性格を…) コウジの気苦労はたえないのだった…。 《初詣へ》終。

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