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《賑やかな6人》

車で、やはり渋滞に巻き込まれながらも、それなりに6人は盛り上がりつつ目的地に一番近い駐車場へ到着する。 かなり時間はかかったが、皆今日は休みなので気にしてないようだ。 「ふー…寒い…」 車から降りるとアキラは、取りあえずその言葉を連発する。 みずきはその様子をみながら… 「…調子が悪くなったら、すぐに俺に言えよ」 アキラの隣を歩いて静かに伝える。 「はいはい…」 そう微笑んで、そっとみずきの腕に手を回して寄り添う。 その自然な雰囲気を後ろから見た瞬助は… 「おー、おい、コウジ!」 自分達もと言わんばかりにコウジに腕を差し出す。 「えっ…僕も?」 ただでさえ瞬助といると目立つのに… 「当然!」 しかし瞬助は乗り気で、諦める気はないらしい。 「…う、ん…じゃ、少しだけ…」 少し辺りを見て頷き、帽子を深くかぶって、瞬助の腕に手を添える。 「よーし、いこうぜ~!」 瞬助は上機嫌になり歩き出す。 コウジは少し、いや、かなり周りの視線が気になって仕方ないけれど… 瞬助の嬉しそうな顔をみると、たまにはいいかなと思ってしまうのだった。 あとは、学校の知り合いに見つからないことを願うだけ…。 それにしても、アキ兄はすごい、見られることに慣れてるのかもしれないけど、全然気にしてないし平然としてる。 ルード君たちも…。 そのルードは、みんなの先頭きって、おおハリキリで進んでいく。 ヨシもルードの相手をしながら一緒に歩いている。 こちらの2人は騒いでいる分、一番目立っているようだ。 一行はまず本堂へお詣りすべく足を進める。 元日だけあってかなりの人だかりだ…。 「お賽銭五円でいいんだよな?」 ルードは首を傾げながらヨシに聞く。 「いいだろ」 6人はそれぞれにお賽銭を投げ入れ手を合わせている。 「ヨシは何お願いしたんだ?」 「内緒~そういうルードは?」 「ないしょ、言ったら効力なくなりそうだし!」 そう笑うルード。 「んだよ、自分から聞いたくせに」 「ははっ」 そんな賑やかなルードたちを横目にアキラもお賽銭を入れ手を合わせる。 願うこと… できるなら…自分の身体を蝕むこの病を無くして欲しいけれど… それは無理なことだから… これから先…悪くなるだけの身体だけれど… できる限り…自由でいられる時間が長くなれば… こうしてみんなと、遊びに出掛けられるから… この一年…オレから身体の自由を奪わないでほしい。 みんなと普通に過ごしていたいから… 手を合わせながら、そうぽつりと願うアキラ。

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