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《帰り道》

6人は、元旦の夕方…かなり目立ちながらも無事、初詣を終える。 再びヨシの車に戻ってくる6人… 今日は普段よりたくさん歩いた… アキラも口には出さないけれど、疲れたのか、帰りの渋滞する車の中では、ぐっすり眠ってしまっていた。 ゆっくりとした優しい音楽が流れる車内… 「アキラ…寝ちゃったね」 ちらっと後ろの様子を見ながらルードが言う。 「あぁ…」 少し自分にもたれぎみに眠るアキラをそっと見て頷くみずき。 「アキ兄、体力ないからね…疲れたんだと思うよ」 コウジが言葉を返すと… 「…兄弟なのに、そうゆうトコ全然似てないよなコウジ。お兄さんはなんかハカナゲな感じ…」 隣に居る瞬助が言葉を挟む… 「それ、どーゆう意味なのさ」 むすっとふくれて言ってしまうコウジ。 「はは、見えないなぁ、お兄さんの寝顔~残念」 瞬助は笑ってごまかし、帽子と髪で顔を隠して眠るアキラを覗いて言う。 「もう!」 コウジは怒るが…軽くかわしている瞬助。 「アキラ…熱とか大丈夫かな、昨日風邪引きかけてたし…」 ルードは本気で心配してるらしく…コウジたちは置いといて、続けて言葉を出している。 「ヨシ、帰りにアキラの叔父さんの病院に寄れないか?」 みずきは運転手に向かい聞いてみる。 「あぁ?そいつ診せるのか?」 ヨシはすぐに応え聞き返す… 「それもあるけれど、アキラ、何か用があるみたいだから…」 みずきはアキラの様子を確認しつつ言う。 「あ、そっか、今日は、健次さんの誕生日なんだ、だからか…」 コウジは思い出して言う。 「けんじさんって?」 すかさず聞く瞬助。 「だから、僕らの叔父だって、話したことあるでしょ?」 「あー、小児救急やってるっていう?」 「うん、アキ兄、健次さんの事、大好きだからね。いつも誕生日には会ってるみたいだし、健次さんもアキ兄の事はすごく心配してたから、今日は待ってるよ…きっと」 コウジは眠っているアキラを起こさないよう小声で話す。 「けんじさんっていい先生だもんな、俺会うのすっげー久しぶり!」 ルードも嬉しそうに言う。 「もしかして、会った事ないの俺だけ?」 瞬助はそう首を傾げる。 「たぶんね、鈴鹿さんとか北上さんとかも場所知ってるってことは会ったことあるんじゃないかな?」 「うん、こっち側はみんな知ってるよ、アキラに教えてもらったから」 頷き答えるルード。 ルードとコウジ、瞬助は3人で楽しく会話しているけど、アキラは、まったく起きることなく眠り続けている。 時間が経ちヨシの車は、健次の病院に到着する。

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