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第77話
「いえ、鈴鹿さん、お腹の調子はよろしいですか?」
「…はい」
「それはよかった、鈴鹿さんと仲直りできて良かったですね、アキラ」
「……」
健次の言葉に声を出さずコクンと頷く。
「鈴鹿さんの所なら安心できます、アキラ、今度からは私にも連絡くださいね、約束ですよ」
健次はアキラに念を押す。
「はい…」
短く頷くアキラ。
「はい。えっと、こちらは北上さんですね、アキラがお世話になっています」
ヨシに向かってそう挨拶する健次。
「あ、いや、全然…」
頭を下げ微妙に答える。
「ははっ」
ヨシの反応がおかしくて笑ってしまうルード。
「こちらは…もしかして、ルダーク君?」
「うん、けんじさん!久しぶりです!」
元気良く答えるルード。
「確かにルダーク君だ、大きくなりましたね」
「へへ、これでもまだ中1だよ」
金色の髪を掻きながら照れたように答える。
「変わらずアキラの友達でいてくれて嬉しいですよ、そしてこちらは?」
コウジの隣で紹介されるのを今か今かと待っていた瞬助に声をかける健次。
「はい、はじめまして、俺はお兄さんじゃなくて、コウジのクラスメイト、幸田瞬助です!よろしくお願いしまーす!」
「ちょっと、瞬!」
いつものことながら溜息をついてしまうコウジ。
「元気がいいですね、コウジのお友達ですか、こちらこそよろしくお願いします」
健次は丁寧に挨拶を返している。
「健次さん、オレたち休憩時間じゃましてない?」
アキラが気になって聞いてみる。
「いいんですよ、休憩時間はほとんど院内の子と遊んでいますから、そうだ…せっかく来ていただいたので、こどもたちの相手をしてもらいましょうか」
思いついたように言う健次。
「えっ」
みんなの反応はそれぞれだが、瞬助とルードはかなり乗り気で…
「いいっすよ」
「行こう行こう!」
そう声を出す…
「助かります…ここにいる子たちは皆、長期入院を余儀なくされている子たちばかりなので、若いお兄さんが来てくださると喜ぶと思います」
健次の言葉を聞き、プレイルームと呼ばれる遊び専用の部屋に招かれる6人。
ルードは一番に入っていって、遊んでいた子どもと打ち解けている。
「年が近いからな…」
アキラは感心して言葉を出す。
「アキラ、コウジ、少し…話しいいですか?」
そっと声をかける健次。
「え、はい…」
アキラは頷くが…
「僕は待ってるよ、ここにはよく来るし、瞬助たちの様子も、気になるから」
「では、アキラ…」
健次は場所を変えるように促す。
「うん」
頷いて、付いていくアキラ。
その様子にみずきは気付いて、どうしたのか気になったけれど、アキラは笑顔で待ってなと伝えてきたので、大人しく子どもと遊んで待つことにする。
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