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第78話
院長室にやってくる2人。
「アキラ、座って…少々ちらかっていますが、勘弁してくださいね」
「ううん、で、話って何?健次さん」
椅子に座って聞いてみるアキラ。
「いえ、たいした事はないのですが…久しぶりに会えたので少し話でもと思いまして」
「…うん」
「アキラ、身体の調子はどうですか?」
健次は、やはり心配なことを聞いてみる。
「…そんなに前と変わらないよ」
アキラは普通に答える。
「発作とか、最近起こったりしました?」
「最近はないよ、別に無理しなければ発作おきないし、手足の麻痺とかはあるけど、すぐひくし…今の所、大丈夫だよ」
アキラは安心させるよう柔らかい表情で、健次に伝える。
「そうですか、よかった。今日、久しぶりに顔をみた時、かなりやつれたように見えたものですから…」
健次は息を付いていう。
「あ、さっきはオレ、寝起きだったから…」
アキラは軽く笑って答える。
「寝起き?」
首を傾げる健次。
「うん、今日みんなで初詣行ってきたんだよ…その帰り、オレ疲れたから車で熟睡してたんだ、さっき起こされて…そんなに変な顔してた?」
「そうだったんですか、疲れているような顔だったので、変ではありませんよ」
「はは…」
「つらいようなら、点滴一本出しましょうか?」
健次はそう提案するが…
「いいよ、そこまでしなくても平気」
あっさり断る。
「…アキラ、無理だけはしないで下さいね。ここも、いつでも頼ってきて下さい。アキラの部屋はずっと空けてありますから…」
優しく言葉をかける。
「…うん、ありがと…」
その言葉にポツリとお礼をいうが…
続けて…
「でも…気を遣わなくてもいいよ、あんまりオレに関わってると、健次さんトコ苦しくなるでしょ、本家とか…親父とかから…」
アキラは考えるように言う。
「アキラ…、そんな事は気にしなくていいんですよ、元々、勝手やってる僕は本家に好かれていませんから…ね、いつでも頼ってください」
健次は優しく伝える。
「…ありがと、健次さんには充分頼ってると思うよ、他に頼る大人いないし…」
優しい言葉を受け取ってアキラは頷く…
「…アキラ」
「そうそう、健次さん、誕生日おめでとう。はい、いつものこれ」
アキラは微笑み…
健次に、小さなプレゼントの袋を渡す。
「ありがとうございます、アキラ…」
「どういたしまして、っていうか、去年と変わんないけどね、お守り。今年は緑がいいって…」
アキラの贈物は、ストラップくらいの大きさの、緑系の三色の糸で小さい水晶を編み込んだお守り…
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