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第103話

「…お世話になりました」 先輩の言葉を受けとり、答えるアキラ。 「しおらしいサクちゃんなんか珍しいね…お疲れ、助手はしないの?」 撮影助手たちも、集まってきてアキラに話しかける。 「はい…これで最後にします」 かなり疲れているアキラだが、ちゃんと答えている。 「そっか、残念だね…綺麗ドコロがまた減っちゃうなー」 そう呟いてアキラを抱きしめ、キスをしてサヨナラを言う助手。 「どこかで会ったら声かけて…」 もう一人の助手も言葉をかけ、掠めるようなキスをして去っていく… 「はい…」 助手たちのお別れの儀式に抵抗するでもなく、アキラは大人しく流している。 「…元気で」 「BOUSのサクヤ、よかったぜ…忘れんなよ!」 残り2人の助手たちも思い思い言葉を送り… 唇へキスを落として離れる。 「はい…」 優しい監督や助手の言葉に、少しだけ胸が熱くなるアキラ。 10年近く働いたBOUS… 自分では、そう、思っていなくても…かなり影響を受けた場所だから… ここの皆に… ここで過ごした時間に… 「…ありがとうございます」 無理矢理求められることも日常茶飯事だけど、その分…迷惑をかけたり、助けられたりもしたから… 素直な気持ちでお礼をいうアキラ。 「よしよし…長い間お疲れサン…ほな、映像編集いくで」 監督はアキラの頭をなでて、他の助手を呼んで立ち去る。 去り際に振り返って… 「サクちゃんは、朝9時頃まで休んだらええで…9時過ぎたら社長とこ行って、書類渡しや…」 「はい…」 こくんと頷くアキラ… 終了撮影の監督と助手たちが去って、撮影ルームは静まりかえる… 時刻は朝方6時前… ほぼ徹夜のハードな撮影をなんとか終えて、アキラは溜息をつく… 「…終わった」 撮影は…取りあえず、すべてスミ。 「お疲れさまっス…シャワー行かなきゃ、凄い血糊ですよー、サクヤ先輩」 挨拶を終えたアキラに、今日の撮影相手のカズキが、タオルを手渡しながら…笑顔で話かけてくる。 「はは、お前もな…、行こうか…」 アキラはタオルを受け取り…軽く笑ってカズキを呼ぶ。 「はい」 頷いて、マイペースに歩きだしたアキラの後をついていくカズキ… 早朝なので、廊下の電気は消えていて、薄暗い中、血ノリのついた顔で歩く2人は、ハタから見たらかなり恐ろしいだろうけれど、朝早すぎて誰も起きていないので、気にすることなくシャワールームに入っていく… 「…はぁ、じゃ…あとでな」 軽く溜息をついて… アキラは後ろをついて来たカズキに言ってシャワーを浴びる為、簡易個室へ入る…

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