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第111話
人より体力がないのも、力がないのも…
食欲がないのも、あきらめが早いのも…
今にはじまったことじゃないから…
これがオレで…こういう風にしか…。
「……」
言い訳めいたことを考えてしまうのは…
少しだけ、みずきに対しての罪悪感に胸が痛んでいるからなのかな…?
それからアキラはナギに誘われるまま部屋へ行き、先輩と身体を重ねた…。
BOUSビル2階、助手専用寮のナギの部屋…
柔らかいベッドに身体を預け、すっかり眠りこんでいるアキラ。
「サクヤ!」
不意に身体を抱き起こされる感覚に驚いて目を醒ます…。
「ん?…先輩」
まだ眠たい頭で言葉を出す。
「よ、あんまり無防備に寝てると襲うぜ?」
ニッと目の前にはナギの笑い顔…
「冗談…、さっき何回やったと思ってるんですか…」
その言葉に大きく息をついて言う。
ナギは、疲れ果てたアキラを上手いことリードして、結局3回…
ナギはまだ物足りない様子だったが、アキラの疲労した様子を見てそのまま眠らせたのだった…。
「いや、最後だって思ったら惜しくてな、ついつい」
「はぁ…」
また大きな溜息…。
ふと髪をかき上げようと、頭に手を当ててさらに驚く…
「ッっ!何やってんスか先輩!?」
触れた肩付近まであった横髪と後ろ髪は…
なんと、細かく分けて三つ編みが施されていたのだ…
「いやな、暇だったから、ストレートのお前もいいけど、ウェーブかけたらもっといいだろうってな、勝手にくくらせてもらった」
「は?」
「サクヤだって悪いんだぜ?髪編もうが、スプレーしようが、全然起きねぇから…」
悪びれた様子なく笑っている。
「アンタが疲れさせたんでしょーが…」
もう脱力するしかないアキラ。
仕方なくゴムで結んである髪を全部解く…
「いい、いい、やっぱ似合うなぁ」
ブラシを持ってきて柔らかく髪をときながら褒め、感想を呟くナギ。
いやに楽しそうだ…。
短時間だったので、髪には本当に軽くだがウェーブがかって…
ストレートだったアキラの茶色い髪が、ちょっと雰囲気違って可愛く見える。
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