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第120話
そっとアキラの傍を離れ、アキラが着替えて、置いてある私服を片付けるため、隣の部屋へ持って行く…。
「みずき、勝手にテレビ観てるぜ~」
すでに上がりこんでいたヨシが、みずきの姿を見つけて声をかけてくる。
「あぁ、アキラが寝ているからあまり騒ぐなよ…」
みずきは頷いてヨシに声をかける。
「へーい、どこ行くんだ?」
自分の元を通り過ぎていくみずきに聞く。
「アキラの服を片付けてくる…」
そう答えるみずきに…
「んなモン、自分でさせりゃーいいだろ、みずき、奴にコキ使われてそうで可哀相ー」
同情ぎみに呟く。
「そんな事はない、アキラは俺が片付けなくてもちゃんと自分のペースで片付けるし、文句も言わないから使われている感覚はないな…、ただ、あまりにも頼ってもらえないから俺が勝手にしてるだけなんだ…」
アキラの私服をたたみ直しながら、誤解を解く。
「マジ?絶対使われてる気、するけどナァ…、あ、なんか落ちたぜ?」
アキラの服から白い紙が落ちたので拾いにいくヨシ。
「なんだ?」
みずきも中腰になり、ヨシの拾ったものを見る。
「名刺?…どっかの店に誘われたんじゃねーの?アキラ、見た目はいいからな、俺も辞める時、ホスト誘われたし…」
確認していう。
「……」
「…どうする?」
黙ってしまったみずきに聞いてみる。
「俺としては…捨てたいけれど…一応、アキラの物だから…後で」
捨てていいか聞いてみる…と机に名刺を置き、洗濯場に服を置きにいく…
「ふ、律義ってゆーか、押し付けできねー奴だよな…」
姿を消したみずきにぽつりと呟く。
そこがイイんだけどな…。
時間をかけず、みずきは戻って来て、テーブルの近くの床の上にあぐらをかいて座る。
それを見て、ソファに座っていたヨシも…ズルっとおりてきて床にあぐらをかく…
「なぁ、みずき…アイツと一緒に住んでて嫌になることとかねーの?俺はみずきが苦労してんじゃねーかって、すっげぇ心配なんだけど」
ヨシはテーブルに肘をついて、聞いてみる。
「…ありがとう、でも、全然…苦労なんかしてないから、逆にアキラと暮らしだしてからの方が規則正しい生活をしている。食事や、アキラが健康管理に気を配ってくれているから…」
優しい口調で答える。
「…みずきがイイんなら、俺は、何もいえねーけどよ…、お前も、よりによってアイツを選ぶとはなぁ…マジ信じらんねー」
溜息をつきながら呟くヨシを横目に見て、少し微笑んで…
「なぁ、ヨシ…」
話題転換の意味も含めて、聞いてみる。
「あ?ナニ?」
「和風スパゲッティってどうやって作るんだ?」
「はぁ?えーと、ゆでるんじゃねーか?」
みずきの唐突な質問に首を傾げながら、それでもちゃんと答える。
「その後だ…ゆでて焼くのか?」
さらに問う。
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