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第122話
『飽きた』とまたいつ言われてしまうか…不安で仕方ないみずき。
あの時のアキラの言葉は嘘だったにしても…
そう言われてしまうと…本当に何も言い返すことさえできなかったから…。
食べ物ひとつでさえ気になってしまう。
それをアキラに知られたら、また…気にしすぎ、と怒られてしまいそうだが…
『えーと、なんのパスタ食いたいって言ってた?材料買っていくから、アキラならたぶん和風スパかサラスパだと思うけど…』
ルードは電話で会話を続け、考えをはさみながら聞いてくる。
「和風がいいらしい…よく分かるんだなルード」
ルードは自分より長い期間、アキラと一緒に暮らしていたのだから、自分よりアキラの事をよく知っているのは当たり前…
そう思ってもやはり少し妬いてしまう。
『まーね、じゃ今から行くからな』
ルードはそれに気付いているようだが、明るい声で言葉を出す。
「あぁ、頼む」
そう会話を締めくくるみずき。
「はい、ありがとう」
みずきはルードが電話を切ったのを確認してヨシに携帯電話を返す。
「お、ルード、何だって?」
電話を受取ながらみずきに聞く…
「来てくれるそうだ…」
頷いて答える。
「やっぱりな、アイツの性格なら来ると思った、なんか夕飯にありつけるかも…」
なにやら嬉しそうに笑う。
「それを狙ってたのか?」
やれやれと呟くみずきに…
「だってよォ、コンビニ弁当もてんや物も飽きてたからなぁ…」
苦笑いなヨシ。
「あまり人のことは言えないが、自炊はしないのか?」
「俺が料理するように見えるか?」
「いや…見えない」
みずきの言葉に、また苦笑いしてヨシは言う。
「あ、これでも掃除とかはしてるんだぜ?」
名誉回復のためかフォローする。
「あぁ、ヨシの部屋は男1人にしては片付いてるほうだな…」
「へへっ、まぁココには負けるけどな」
みずきにほめられ嬉しいヨシ、少しテレ笑いする。
そんなたわいもない話をしながら時間は過ぎて、時刻は夕方5時半をまわる。
そして、ようやく、さっき電話したルードがやってくる…。
みずきが招きいれると…
「ごめん、ごめん…遅くなった、お邪魔しまーす」
いつも通り買物袋を片手に元気よく入ってくる。
「いや、わざわざ有難う、ルード。今、奥でアキラが疲れて眠っているから起こさないように頼む」
アキラがルードの声を聞いて起きて来ないか心配して言う。
「え、そうなんだ、なんで?」
「終撮…徹夜で撮影があって、昨日あまり寝てないんだ…」
簡単に説明するみずき。
「終撮って終わりの撮影?…そっか、分かった静かにするよ…」
その説明で察して、笑顔で頷く。
「そういう事でアキラは昨日の昼から何も食べていないから、夕飯は好きな物を出してやろうと思ってな…」
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