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第127話
みずきはアキラが風呂に入っている間に、和風スパを作って、食事の用意を整えて、アキラが出てくるのを待つ…。
しばらくすると、アキラがさっぱりした様子で戻ってくる。
「みずき、イイ湯だったぞ、入ってくれば?」
近づいてきたみずきにそう伝える。
「いや、俺は後でいいよ…」
湯上がり美人なアキラにちょっぴりドキドキしながら、軽く首を横に振り答えるみずき。
「…あ!どうしたんだ、コレ…?」
テーブルの上に並ぶ料理たちに驚いて聞く。
「…一応、アキラが食べたいものをと思って…」
「え?みずきが作ったのか?全部?」
「いや…実をいうと、ルードに教えてもらって…スパゲッティだけは作ったんだが…あとはルードが…」
みずきは、いい難そうに話す。
「え?ルード来てたのか?」
驚いたように聞いてくる。
「…すまない」
ルードが来ていたのならルードの作ったスパゲッティを食べたかっただろうな…などと思い直して謝るみずき。
「は?何が…?」
急に謝るみずきに首を傾げるが…
「でも、味付けは…ルードに習った通り作ったから、同じだと思うから…」
「ちょっと、待てって!オレの質問に答えろよ!ルード今日、来てたのか?」
なんだかひとりで弁解しているみずきをとめるアキラ。
「…スマン、ルードはさっき来て、和風スパの作り方を教えてくれて、副食だけ作って、用があるからすぐ帰ったんだ…」
一度謝って説明する。
「そっか…」
ルードに会えなかったことを少し残念そうに呟き頷くアキラ。
「……」
そんな様子を見ると、なんだか少し悲しくなるみずき。
言葉が続かなくなる…
「んで、何で謝るんだよ、みずきが作ってくれたんだろ?コレ」
和風スパをちらっと見てアキラは軽く首を傾げ、少しうつむくみずきの顔を覗き見て聞いてみる。
「……」
短く頷く。
「作らなくていいって言ったのに…」
みずきの気持ちを読んで…意地悪っぽく囁くアキラ。
「……」
アキラの言葉を聞いて視線を下げてしまう…
「…でも、」
アキラは呟くように言い、優しく両手で頬に触れ…
不器用なみずきの顔を上げる。
瞳をあわせ…柔らかく口づけする。
「…ありがと、みずき…」
そっと、離れると…
そう、みずきに微笑むアキラ。
ルードが来た事を、正直に言うところなんかみずきだよな…。
適当に、本見て作ったとか嘘つけば良かったのに、素直に教えてもらったって…
オレの反応くらい分かるだろうに…
自分で自分追い込んで…ばかな奴、ホントに…。
「嬉しい」
そう心で思いながら、慰めるように囁くアキラ。
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