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第128話
「…アキラ」
微笑むアキラをみて、ようやく笑みを戻し、名前を囁くみずき。
「食べるか?」
みずきは手を差し伸べて、優しく控え目に聞く…
「うん、せっかくだしな…結構うまそう」
みずきの手をとり、テーブルへ向かう。
みずきに優しくされ、尽くされる度に…
いつも笑顔の下で少しだけ…
切なくて苦しく感じることがある…
みずきの誠実さ…
懸命さを見る度…
自分が、どれだけ汚れているのかをまざまざと感じさせられる…
嘘ばかりついて…すぐ本当のことをあやふやにしてしまうオレ…
嘘をつくのは…後ろめたいことが、必ずあるから…
真実を隠したいから…。
今日…オレが何人とキスを交わしたか…
SEXしたか…
本当のことをみずきに伝えたら…オマエは、どう思う?
傷ついてもBOUSだからで済ます?
オレが他で同じことをしないという保障なんて、どこにもないのに…。
こんな相手に、どうしてそんなに尽くせるんだろう…?
みずきに背を向けたまま、ぽつりと思うアキラ…
心の中に小さくよぎる気持ち…
それも、いつも…うやむやにして、流されてるだけ…。
「じゃ…いただきます」
手をあわせて挨拶したのち食事に手をつけはじめるアキラ。
「あぁ、どうだ?味は…」
1人分よりやや少なめに盛ったパスタだが…何も言わず食べるアキラの姿を見て、取りあえず安心して、出来具合を聞いてみる。
「うん、大丈夫。うまい、うまい、お前も食えよ早く」
そう笑顔で答える。
「…あぁ、」
その言葉に笑顔で頷くみずき、食べ始める前にチラっと時計をみる。
7時半をとっくに過ぎている時刻…
ヨシが遅いので少し心配になる。
「ん?どうした?時間なんか気にして…」
アキラが首を傾げ、聞いてくる。
「あ、いや…」
みずきが答えようとした時、みずきの携帯電話が鳴り始める。
「珍しいな、誰?」
アキラはぽつりと聞く…
「たぶんヨシだ…少しすまない」
アキラに軽く断って電話に出るみずき。
「はい、あぁ、ヨシか…」
案の定、相手はヨシ。
どうやら渋滞に巻き込まれて遅くなっているらしい…
「8時頃だな、わかった…すまないな、ヨシ」
みずきの言葉にいつもの明るい声で答えてくれるヨシ。
みずきは話しを終えて電話を切る。
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