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第129話

「なにが…8時ごろ、なんだ?」 会話の内容が少し気になり聞いてみる。 「少し、ヨシにあとひとつ頼んでいることがあるんだ…それを届けてくれるのが8時ごろになるらしい」 「届けてって何を?…何で?」 気になり、さらに質問をなげかける。 「誕生日プレゼント…と言っていいものか分からないけれど、アキラに…と思って」 そう答えるみずきに… 「え、プレゼント?オレに?何、ケーキとか言うなよ」 アキラは興味を持って眉をひそめさらに聞く… 「違うよ…、物じゃないから…」 「は?でもヨシが持って来るんだろ?」 首を傾げてハテナのアキラ。 「あぁ、もう来るはずだから、早く食べよう…」 微笑んでかわす。 食事を促されて、一応、食べはじめるアキラだが… なんだろうと考えながらフォークをすすめる。 量がやはり多かったのか、残り少しをみずきに分けながら、お皿をあけるアキラ。 「ごちそうさま。うまかった、また作ってな」 そんな可愛らしい笑顔で言われると、嫌とはいえない。 「あぁ、いつでも…」 頷いて答えるみずき。 「片付け、手伝うからな」 アキラはすかさず、みずきに言う。 「いや…俺がするから…」 待っていればいいよ、と気遣ってみるみずきだが… 「ヤダ、やっぱり、してもらってばかりは落ち着かないし、少しは動かないと」 首を振り断る。 「…誕生日でも?」 みずきは空いた食器をアキラと片付けながらポソっと聞く… 「関係ないって、だいたいオレは誕生日なんか祝う習慣ないし、まぁ、けんじさんは同じ月生まれだから、気にかけてくれてるけどな」 特別こうしていたいってわけでもないから、いつもと変わらず過ごすだけ… 「…なら、これからは、習慣にすればいい…来年も再来年も祝うから…」 みずきは本心からの言葉だったが… アキラは、ははっと笑って… 「…ばーか、」 それだけ呟くように言う。 いつもは…バカ、バカ言われてもさして気にしないみずきだったが… 今のは… なんだか…自分との未来を全て否定されてしまったように思え… 胸が痛くなるみずき。 「アキラ…、俺はずっとアキラと一緒に居たいと思っているし…支えていきたいから…」 みずきは片付けの手を止めてアキラと瞳を合わせて真剣に言うが… 「…分かってる、けど…」 みずきの今思ってる気持ちは… でも… 「…アキラ」 微妙なところで言葉を止めてしまったアキラ… みずきは名前を呼んでしまう。

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