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第131話

「今放すから…」 みずきは綱を一匹ずつ外す。 犬達は自由になってすぐにアキラの居る部屋へ駆けていった… 「えっ!?嘘、おまえら…!?」 部屋の奥からは犬達との突然の再会に驚いているアキラの声… みずきもアキラの傍へいく… 「…みずき」 やってきたみずきの顔を驚きながら見る。 「前に、アキラ…犬のことを気にしていただろ、会わせてやりたいと思って…」 みずきは優しく微笑み伝える。 「みずき…」 まだ信じられないという顔のアキラ。 「少しは、喜んで貰えたか?」 そっとソファに座っているアキラの横に座って、近くにいる黒い毛並みの犬を撫でて…アキラを抱き寄せる。 「誕生日おめでとう…アキラ」 そして犬達の前でアキラと優しくキスを交わす。 犬達には気に食わないゾと言うようにウーと唸られてしまったが… 「……」 「…アキラ?」 アキラは…すぐに言葉がでない。 「…駄目、だったか…?」 うつむいたまま…何も言わないアキラ。 不安になって…ぽそっと聞いてしまう。 「…ばか、嬉しく…ないわけ、ないだろ…」 アキラはみずきの胸に縋り付くように頭を埋めそれだけ…ぽつりと言う。 「アキラ…」 その声と… アキラが触れた場所… 滲むように熱くなってドキドキしてしまうみずき… 「ありがと…みずき」 ふと顔を上げ微笑むアキラの緑色の瞳は少し潤んでいるように見え… さらにドキッとしてしまう。 「アキラ…」 もう一度触れようとした時… アキラはみずきから離れて…元気のいい小型犬に向かい、撫でながら… 「…はは、こら、そんなに飛びかかるなよメアリー、元気にしてたか?ごめんな…」 本当に優しい笑顔で犬たちに接するアキラ。 「リッツも…目、まだ大丈夫そうだな…よかった。ごめんな…無責任な飼い主で…」 一匹ずつ、きちんと謝っている。 「アキラ…」 そんなアキラの姿を見ると… 自分の意思で離れていたんじゃないということが強く伝わる。 「こいつら…オレがガキの頃からいて、オレにとっては大切な家族も同然なんだ…」 犬をなでながら…ぽつりと話しはじめる。 「あぁ…」 頷くみずきに…すっと瞳をなげかけながら… 続けて優しい口調で… 「リッツとメアリーがいたから…ひとりじゃなかった…」 家の中の誰も自分の存在を認めてくれなかったけれど…こいつらはまっすぐオレを見てくれた大切な存在…

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