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第132話
「だから…みずきが、覚えててくれて嬉しい…」
瞳を合わせたまま優しく囁くアキラ。
「あぁ、忘れやしない…」
アキラのその笑顔の源を…
アキラの大切な存在を…
「うん…」
みずきの言葉に素直に頷く…。
そんなアキラが愛しくてたまらない…
傍に寄り添っていたいが…中型犬のリッツがアキラとみずきの間のソファへ座ってしまったので仕方なく床へ移動するみずき。
「みずき、場所とられたなー」
そう、床の上にいるみずきにくすくす笑う。
「…今は、我慢する、アキラが嬉しそうだから…」
ぽつりというみずき。
「…ホント、ばかだよ…」
オレの為に…迎えに来たり、苦手な料理つくって…こんなことまでして…
よしよしとみずきの頭を撫でて…。
何か、して返さなきゃ…
自分がみずきにできるお礼は…
この、身体くらいしか…思いつかないけど…
「そうだ、これ…けんじ先生からアキラへだそうだ」
「えっ…」
みずきから渡されたものは小さな箱型のプレゼントと手紙…
「…けんじ先生からの誕生日プレゼントだな…」
「郵送じゃない…けんじさんここに来たのか?」
ふっと真剣な顔になり聞く。
健次はプレゼントを送ってくると言っていた筈が、それらしい形跡がないプレゼントをみて不思議に思ったのだ…
「いや、ヨシが犬たちを連れに行った時に渡されたようだから…」
「連れにって…けんじさんの所にこいつら預けてたのか!?」
声を厳しくして、みずきに問う。
「…アキラ?」
怒っているようなアキラの言葉に驚くみずき。
「質問に答えて…」
真剣なアキラの瞳…
「あぁ、犬のことで少し相談したら、置いていいって…けんじ先生が…」
アキラの様子に詰まりながら答える。
「馬鹿ッなんでけんじさんを巻き込むんだよッ!」
答えを聞いて、カッとなるアキラ。
「…アキラ?」
みずきはアキラを怒らせてしまって慌てる。
「いちいちオレのことで…勝手に聞きに行ったりするなよッ」
本気で怒っているアキラ…
さっきの笑顔は微塵もない…
「すまない…」
みずきは表情を落として謝る。
黙ってしまったみずきを見て、ハッと我に返る…
「ごめん、違う…みずきは悪くない、みずきはただオレを喜ばせようとしただけだから…言わなかったオレが悪いんだ…」
アキラはうつむいたままみずきの肩に触れ…
みずきの気落ちした様子を見て、珍しく自分を責めるようなことを口に出して言う。
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