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第134話

「…うん、すみません、お願いします」 『はい、任せてくださいね』 優しく答える健次。 「…邪魔しちゃ悪いから、そろそろ切るよ、けんじさん」 アキラはそう聞き、会話終了を促す。 『…そうですか、僕はかまわないんですけどね。ではアキラ、また気軽に会いに来て下さいね…』 少し残念そうに、健次はしめくくる。 「…はい」 アキラも少し視線を落とすような表情で頷いて携帯電話を切る。 「…アキラ?」 犬たちとおとなしく待っていたみずき、様子をうかがうように名前を呼ぶ… 「うん…」 みずきの声に曖昧に頷いて、2匹の犬を撫でながら… 今度は健次の手紙をあけているアキラ。 封筒の中身は便せん二枚と、もうひとつ封筒が入っている。 その封筒は置いて、手紙に目を通す。 「…はぁ、」 内容を見て複雑に息をつく… 「アキラ?大丈夫か?」 笑顔を隠してしまったアキラ… やはり怒っているのだろうか… 自分のしたことがアキラを追い詰めているなら… 不安感に押されて、アキラの手に触れ聞いてしまう。 「ん?…まぁ、仕方ないか…」 アキラは考えるふうにして独り言を呟いて、続けてみずきの方を向いて… 「ふふ、みずき、そんなカオしなくても、別れ話してる訳じゃないんだから…」 クスっと笑顔を取り戻して、みずきの頬に触れて言う。 「…もう、怒ってないのか?」 みずきは囁くように聞く… アキラにそう言われても、さっきあれだけ怒っていたから不安になる。 「…怒る理由がねぇよ、みずきは…オレの望みを叶えてくれたし、悪気があったわけじゃない。だから、気にするな、わかった?」 健次と話したことで落ち着き、冷静に考えなおして、ヘコむみずきに言い聞かせるアキラ。 「アキラ…あぁ」 アキラの微笑みで、張り詰めた緊張感と不安感が解けるみずき。 「怒鳴って悪かったけど、けんじさんはな、人がいいから、困ってる事とか聞くと、自分を犠牲にしてまで協力してくれるような人だから、そういう人には、ちゃんと、頼む方が気を遣わなきゃ駄目なんだ…」 アキラはみずきにそう教える。 「あぁ、よくわかった…」 頷くみずき。 アキラの機嫌がなおってほっとする。 「…じゃ、みずきを不安にさせたお詫びとプレゼントのお礼ってことで、みずきの言うこと、なんでも3回だけ聞いてあげる…」 そう優しく囁く。 みずきは、その言葉や仕種にドキドキしながらも… 「いや、いいよアキラ。プレゼントは誕生日で贈ったものだし…お詫びなんてしなくていいから…」 柔らかく遠慮する。

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