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第135話

「ふーん、みずきはオレにしてほしいコト何もないんだ…好きなのにおかしいよなー」 犬に向かって話しかけている。 「…あ、いや…そういう訳じゃ…」 みずきはアキラの言葉に言い詰まってしまう。 「じゃ、ナニして欲しい?」 なんだかみずきの反応で遊んでいるようなアキラ、 もう一度ささやく… 「う…ええと、とりあえず…」 困って視線を外しながらも答えようと頑張る。 「うん、うん」 アキラはみずきを見つめたまま言葉を待って頷く… 「…指輪、はめてほしい…」 ぽつりと囁く。 「は?…あ、そういえばBOUS行くから、その時外したままだったな…えーと、はい」 軽く首をかしげたあと、鞄を探りみずきに貰った指輪をはめなおす。 「ありがとう…できるだけ、一緒にいる時はつけていて欲しいから…」 「わかったって、んで次は?」 アキラはさらにお願いを楽しそうに聞いてくる。 「…そうだな、これを見せてもらおうか…」 さっき床に置いた、もうひとつの封筒を手にとる。 「それ?オレの成績表だぜ?っていうか、そんなことでいいのかー?なんでもするのに…」 首をかしげながらつまらなそうに言うアキラ。 「あぁ、アキラの学校の成績、気になったから…開けるよ?」 一応聞いてから封を切る。 「ハイハイ…どーぞ」 やっぱ変わってる…みずきって… そう心の中でつぶやきながらみずきの様子を見る。 「…どう見るんだ?」 高校の成績表など見たことがないので、首をかしげるみずき。 「えーと、これが中間、期末の試験結果、あと偏差値とクラス順位。まだ2学期末のまでしかないからな、最終評価でるのは3月だな」 アキラは簡単に説明する。 「…この2学期の期末が、12月に受けに行っていたテストだよな…」 アキラは11月末から12月初めまでの間、入院したり行方不明になったりしていて、学期末テストを追試で受けに行っていた事を思い出して聞く。 「…そうそう、オレ住所変更とかしてないから前住んでたトコにコレ届いたんだな、コウジがけんじさんに渡してたんだろ」 そう解釈するアキラ。 「そうか。凄い…」 アキラの成績表、まだ判定はついてないが、科目ごとの点が、かなり良いのは一目瞭然。 ほぼ100点と、あと90点以下のものは殆どない。 試験前、入院などで学校に行っていない筈なのに、この点をとれるのは凄いとしか言いようがないみずき… 「さすがだな…アキラ、よく勉強している」 本気で感心する。 「はは、褒めてくれるのはオマエとけんじさんくらいだよ、あとは自己満足。でも…今回の期末は、あんまり出来てないな…」 みずきの持っている成績表を覗きながらぼやく。 「これで?」

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