136 / 145
第138話
「ん、どした?メアリー、外行きたいのか?」
入口のドア前に座って待っているメアリー。
「今日はここに泊まるんだぞ…?メアリー、Stay」
そう言い聞かすが、動かない。
「…ん、もしかして散歩行きたいのかな?…でも、夜遅いし…」
散歩と聞いて目が輝く犬たち…
「分かった、アパートの前だけな、寒いし…」
アキラは頷いて、一枚羽織るものを着て犬たちと外へ出る。
今日は移動とかで犬たちは散歩できてないのかな?とか思って、少しだけ外に出すことにするアキラ。
「ふー…寒っ」
一月なかば、犬たちは外に出れて大喜びだが、アキラはかなり寒い様子…だが、犬たちの嬉しそうな様子をみるとすぐに帰るのは可哀相だなと、入口ドア近くの壁に寄り掛かり犬たちの様子を見ている。
その頃、みずきは、なにも知らず風呂から上がって服を着、部屋に戻ってくる。
「…アキラ?」
(えっ…)
そこに居るはずのひとがいない…。
犬まで…
みずきは水分補給をする間もなく、アキラを探しだす、あまり広くないアパート内…
探すところは限られ、室内にはいないことがすぐ分かる。
アキラがいない事で、不安感に焦る心を抑えつつ…
「…外に?」
この寒い中、こんな時間に…どこへ?
心配で仕方ないみずき。
走って玄関のドアをあけてしまう。
「…っ、アキラ!?」
戸を開けるとすぐに視界に飛び込んできた影に、驚きひとまず安心するみずき。
「わっ…何、フロもう出たのかみずき?」
アキラも驚きつつ聞いている。
「あぁ…何やってるんだ、身体が冷えるだろう…」
白い息を吐くアキラを見て、ぎゅっと抱き寄せながら言うみずき。
「ん…、そろそろ戻ろうと思ってたトコだけど…」
「……?」
「こいつらが出たいっていうから…、ホラ、みずきだって湯冷めするだろ!早く入れよ!」
犬たちを目でさしていい、みずきに逆に言い返しているアキラ。
「…アキラ、一緒に…」
みずきは息をついて、アキラの手を握り…やさしく引く…
「わかったって、メアリー、リッツ!」
犬に声をかけ…部屋に入れつつ、みずきに手を引かれていくアキラ。
手を繋いだままソファに座る2人…。
「…みずき?」
なかなか手を離してくれないみずき…
軽く首をかしげて呼ぶアキラ。
「……、もう…心臓が止まるかと思った」
大きくため息をついてもう片方の腕でアキラを抱き寄せる。
「…ん?」
「…なにも言わずにいなくならないでくれ、すごく焦った…」
アキラがいないという感覚はみずきにとって一番恐いこと…
「あぁ、オレが部屋にいなかったから?」
アキラはみずきの心理を理解して頷く…
「こんなに冷えて…」
頬に触れてもう一度溜息をついて…
「少し出ただけだから、オレは平気だけど…」
ともだちにシェアしよう!