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褥事
だから、と突然距離をつめてきた双子は躊躇うことなく文梓に触れた。慣れない他人の体温に身を捩る文梓は宥めるように抱きしめられ、息を詰める。
「な、に、いきなり」
「文梓様は仰いました」
「『人は醜悪で怖い。だから人間のわたくしは汚くて醜い』と」
「……本当のことであらします、だから、だからわたくしを離してくださいっ」
居心地悪く身じろぐが双子はまるで離しはしないと言うように左右から抱きしめる腕に力を込めた。
人間は醜い。人間は醜悪だ。人間は愚かだ――そう言われて大事に大事に『檻の中』で育てられた文梓にとって、人間とは未知であり脅威の存在なのだ。
たとえそれが自分自身だとしても。文梓の中で、一番醜い存在は『自分自身』と認識されていた。
「文梓様、文梓様が醜いのなら、俺も志乃も、もっと醜いんです」
「そんなことっ……志乃も誉有もわたくしなんかよりずっとずっと綺麗で」
「文梓様は安心してもいいんです。私たちを信じてください――私たちに、触れさせてください」
あ、と思った時には志乃と唇が重なっていた。
甘い唾液をじゅるじゅると音を立てて吸い上げ、口はしからこぼれ落ちた涎をきれいに舐めとれば、羞恥に顔を赤らめる。
「やめっ、志乃! 誉有も見てないでっ……ひっ…!?」
「だって、こうでもしないと文梓様、私たちに慣れてくれないでしょう?」
「ほら、仲良くなるには裸の付き合いがいいとかそんな諺あるじゃないですか。……あったよな、志乃?」
「さぁ? あったんじゃない?」
会話をしながらも文梓の体をまさぐる手を止めない双子は着物の上から文梓の中心を捉えて上下に扱いたり柔らかく撫でたりを繰り返し、曖昧な快楽を与えていた。声を我慢しようと口を押さえていた手は誉有に拘束され、切なげな声が室内に溢れる。
「やだ、志乃ぉ…!」
「文梓様可愛い」
「まじ志乃だけズルい」
「じゃんけんで負けた誉有が悪い」
勃ち上がり始めた竿からとろとろと我慢汁が溢れ、文梓の顔は真っ赤に紅潮した。熱い息を吐き出し目を瞑って快楽に耐えようとしている様がとても愛らしく、双子は笑みを浮かべる。
和らげな愛撫から突然、ギュッと根元を握りしめられた。
鈴口を弄っていた誉有の手のひらに精子が勢いよく飛び出し、青臭いにおいが鼻をついた。
「っ、あぁっ」
息を詰めて弓なりに背を反らした文梓の耳元で誉有が囁く。
「イっちゃいましたね、文梓様」
「ふっ、ざけ……!」
目元に涙を滲ませ、抵抗しようと足を上げれば志乃がそれを素早く押さえ込み、着物の合わせ目から忍ばせた手が胸の飾りを摘んだ。
「ぁ……!? や、いたっ」
「痛いんですか? きもちいじゃなくて?」
「痛いのに文梓様の乳首は赤くなってツンと立ってきてますよ」
「っ……!」
口を開けば意図せずとも思ってもいない羞恥の声を上げてしまいそうになる。必死に唇を噛み締めて睥睨する文梓とは裏腹に、双子は拗ねたように言葉を紡いだ。
「だって、文梓様がいけないんですよ? このタイミングで素顔を見せてくるから」
「もう少し経ってからにしようと思ってのに、我慢できなくなっちゃったんですもん」
「わ、わたくしのせいなの……!? でもそれじゃあどちらにしてもわたくしは襲われ、て、ぁああっ! し、しゃべ、てるのにぃっ…ぃあぁ!」
目をいっぱいに開いた文梓は再び果てて、誉有にもたれかかる体勢となってしまう。
荒い熱い息に紅潮した頬、涙の浮かぶ濡れた瞳、乱れた着物。壮絶な色気を漂わせる文梓のすべてが双子を興奮させる材料となる。
自然と視線を合わせた双子は、口元に笑みを浮かべると疲れ果てる文梓に囁くのだった。
「大丈夫ですから文梓様」
「意識が飛ぶくらい気持ちよくさせてさしあげますよ」
「だから」
「私たちにあなたのすべてをくださいませ」
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