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(日常小話)little by little ①

※ほのぼのした日常のちょっとした小話です。 ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽ Side ひよしさん 俺は猛烈にジェネレーションギャップを感じている。 さっき生徒達と音楽の話をした時のことだ。 3代目だの、セカオワだの、ワニマだの… ひとつも知らん! 確かに俺は音楽に詳しい方じゃないが、それにしてもひとつも分からないとは! ショックだった。 もう俺もおっさんになってしまったか。 「何突っ立ってるの?」 廊下で立ちすくんでいるところを声をかけられ、振り返ると空がいた。 学校内で空と話をすることはあまりない。 「お前、学校では敬語使えよ。一応生徒と先生なんだからさ。俺らの関係は極秘だぞ」 「誰もいないから大丈夫だよ。それに今更敬語なんてムリだもん」 「無理ってどういうことだよ」 こいつって本当に普段は小生意気だよな。 「あ、そうだ。空って、音楽とか何聴くんだ?」 そういやコイツがどんな音楽を聴くのか、ちゃんと聞いたことなかった。 「何?藪から棒に」 「いや、さっき生徒達とそんな話してたら知らねー名前ばっか出てくるから、ちょっとジェネレーションギャップ感じてヘコんでんだよ」 「あ、それで突っ立ってたんだ。んー、何聴くかなぁ。洋楽のヒップホップとか?」 「ヒップホップ!?お前が!?」 顔に似合わなすぎて吹いた。 意外過ぎる。 「いや、一応ヒップホップダンスやってますから、僕」 ちょっとムッとしたらしく、薄い唇を尖らせて空が言った。 「お前、その可愛い顔やめろ」 こういう表情を無意識でやるから困りもんだ。 「別に可愛い顔なんてしてないし。あ、あと、カラオケではセカオワとか唄うかな」 でた、セカオワ。 なんの略なんだそれ。 ってゆーか… 「お前、カラオケとか行くのか??」 これまた意外だった。 でも考えてみれば、男子高校生なんだし、カラオケくらい行くよな、普通。 「いくよ。たまに誘われたときだけって感じだけど」 「俺、カラオケなんて人生で数える程しか行ったことないぜ」 「確かに、ひよしさんとカラオケ行ったことないね」 言われるまで気付かなかったが、恋人同士なのにカラオケに1回も行ってないんだな俺ら。 つーか、こいつって歌うまいのか?どんな歌声なんだろう。 すげー気になってきた。 「よし、今日行くか!」 俺は、空の肩に手を回して言った。 「ち、ちょっと、学校では生徒と先生なんでしょ!?」 空は慌てて俺の手を押し返す。 そんなに嫌がるなよ、凹むだろ。 まぁそんな訳で俺らは2人で初めてのカラオケに行くことになった。

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