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満員電車の悪夢②

ゾクッとした。 こいつ、今までの痴漢と違う。 怖い。 恐怖で固まっているうちに、人並みに流され、電車の奥の方に押し込まれてしまった。 その間も痴漢は僕に密着していた。 なんとか逃げ出さなきゃと思うけど、満員電車で身動きが取れず、ドアは閉まった。 それと同時に、いきなりお尻を揉まれた。 「ひゃっう、ぁ、やっ…」 大きな声が出そうになって慌てて口を抑えた。 痴漢の手は大きく、僕の小さなお尻を包み込むように、強い力で揉みしだかれる。 「やぁっ、ゃ、やめてくださいっ、んっ、揉まないでっ…」 僕は小声で相手に訴えた。 「ふっふふ、想像以上に柔らかくて可愛いお尻だね。それに、相変わらず声も可愛い」 痴漢がまた背後から耳元で囁く。 興奮のせいかわからないが上擦った声だった。 「ゃ、やめてくださいっ」 今度は少し語気を強めて言った。 すると意外にもお尻から手を離してくれた。 でも、その代わりに凄く固いものがお尻にあたった。 「嘘っ…、やぁっ」 それが痴漢の勃起したものだと気付き、僕はかぁっと顔を赤らめた。 「こ、こんなになってるのに、やめられる訳がないだろう。ずっと待っていたんだからね」 男がまた背後から囁く。 "ずっと待っていた"? そういえばさっき、"相変わらず"声も可愛いと言った。 誰? 僕の事を知ってる人…? 「だ、誰…ですか?」 僕は恐る恐る顔の見えない男に聞いた。

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