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続・かなてぃの恋⑥

結城は暫く呆然としていた。 週刊誌に撮られた瞬間のアイドルはきっとこんな感じなんだろうな、と思った。 結城が微動だにしないので、俺は慌てて続けた。 「ひよし先生に聞いたんだよ。実は、その、俺、2人がキスしてるとこ見ちゃって…」 それを聞いた空は、今度は頬を赤らめる。 「そ、そうなんだ…、見ちゃったんだ…」 結城は、かなり動揺しているようだった。 俺はまた慌てて言った。 「わ、わりぃ、結城。動揺させるつもりじゃなかったんだ。ただ、なんつーか、知ってるのに知らない振りするのはよくねーかなと思って」 俺はそう言って、落ちていたいちごミルクを拾ってやった。 「…変に思った…よね?」 結城が遠慮がちに聞いた。 「変になんて思ってねーよ。そりゃ驚いたけど、変だなんて思ったりしない。」 俺はどうやら思った事がそのまま口から出てしまうタイプのようだ。 確かに、その事実を知ったときは驚いたっつーか、めちゃくちゃショックだった。 でも、変だなんて思わないし、結城のことを好きな気持ちは当然変わらない。 「そっか、よかった…」 結城は少し安心した表情で言った。 そして、 「かなてぃ、今まで黙っててゴメン。」 と、申し訳なさそうに結城がそう言った。

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