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ひよしさんの誕生日⑭
ようやく胸を開放してやると、空は両手で胸を隠し、目をますますうるうるさせて、何か言いたげにこっちを見ている。
「空、今日はいつもの罵詈雑言があんまり出ないな。変態!とかバカ!とか死ね!とか」
「…死ねは言ったことないもん」
「そうだっけ。でも、変態!バカ!はよく言うよな?」
「言いそうになるけど我慢してるの!」
「なんで?」
「誕生日だから…っ!悪口、なるべく言わないようにしてるの…!なのに、ひよしさん、汗舐めたり…っ、胸、揉んだり…っ、その、お、おっぱい…って言わせたり、変な事ばっかりして…っ、ぼく、我慢してるのに…!ひよしさんの誕生日だから…っ、いい日にしたいから…っ、我慢してるのに…、ぅ、ひっく、うぅ…」
しまった。また泣かせちまった。
しかもちょっと今回のはまずいな。
空、一途に俺の為を想ってくれてるんじゃん。
完全に俺悪い奴じゃねーか。(いや、いつもか…?)
「空、ごめん。ごめんなさい」
俺は頭を下げて謝った。
それを見た空が固まった。
「う、ひっく、あした…っ、雪降りそう」
「なんでだよ」
「だって、ひよしさんが頭下げて謝るなんて、初めて見たもん」
空が泣いた顔で少し笑った。
コロコロ変わる空の表情が俺はやっぱり好きだな。
そう改めて思った。
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アルファポリスの方がだいぶ進んでいますので、続きが気になる方はこちらをどうぞ♪→https://www.alphapolis.co.jp/novel/79332834/121173825
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