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続続・かなてぃの恋⑤
あーそういうことか。
俺は一気に事態を把握した。
吉井は、気まずくて空から逃げてるんだな。
で、空は、吉井が怒ってると勘違いしてるって感じか。
つーか、やっぱ俺だな。
この状況を作り出してしまった諸悪の根源は。
「空、ごめんな。俺が悪かったな。マジでごめん」
俺はまずあの日の事を謝った。
「うっ、ひっく、もぅいいよ…っ、過ぎたことだし…、ぐすっ、でも、かなてぃが…、僕と話ししてくれなくて…っ、ぅぅっ、どうしたらいいの…?ひよしさん…っ」
空は、俺の胸に顔を埋め、俺のシャツの胸元をぎゅっと握りしめ、周りも気にせず涙を流す。
吉井に避けられた事が泣くほど悲しかったんだな。
こいつは、本当に可哀想なことをしてしまった。
俺が責任取らなきゃな。
「空、俺がなんとかするから。だから、まずは涙ふきな」
俺はポケットティッシュを渡した。
空はそれを使って涙を拭き、鼻をかんだ。
何人かの生徒が通りがけにこっちをチラチラ見ていたが、手で「あっちいけ」とジェスチャーして追っ払った。
空は少し落ち着いたようだ。
「僕、かなてぃに謝ろうと思って話しかけようとしたんだけど、かなてぃ、僕のこと避けるようにどっかに行っちゃって…、僕、やだよ、こんなの。かなてぃは大事な友達なのに」
大事な友達か…。
あいつが聞いたらどう思うかな。
「うん、そうだな。わかった。今回の事は俺が悪かった。だから、俺が責任を持ってなんとかする。空はいつも通り、午後も授業受けろよ。つーかご飯食ったのか?」
「まだ…」
「食えよ。昼休み終わるぞ?カップラーメン食うか?」
「いらない。っていうか、またカップラーメン食べてるの?健康によくないよ、ひよしさん」
「どいつもこいつも…。お前は俺のおかんか」
おどけて言ったつもりだったが、空はあまり笑う元気はなかったようだ。
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アルファポリスの方がだいぶ進んでいますので、続きが気になる方はこちらをどうぞ♪→https://www.alphapolis.co.jp/novel/79332834/121173825
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