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君に触れたかったんだ④
放課後の理科室に僕はいた。
今朝、彼の下駄箱に手紙を忍ばせておいた。
その手紙を彼が手に取るところもちゃんと確認した。
手紙の内容は、話があるから理科室に来て欲しい、という簡潔なものだ。
でも、確信があった。
彼は来てくれる。
なぜなら、彼はそういう子だから。
観察した事で彼の事は熟知していた。
何でも素直に信じ、誰にでも優しくて、自分よりも人の事を第一に考える。そして、自分の美しさには全く気づいていない。
すべて僕にはないものだ。
だからこそ、僕は彼に惹かれている。
待っている間、不思議と緊張はしていなかった。
それよりも逸る気持ちだけが僕の心を満たしていた。
早く、早く彼と話をしたい。
20分くらい待っただろうか。
ガラッと理科室の扉が開いた。
少し緊張した面持ちの彼が扉の隙間から顔を覗かせた。
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