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君に触れたかったんだ⑭

僕は驚いて後退りする。 「空っ!大丈夫か!?」 体育教師は叫んだ。 「ひ、ひよしさん…っ」 彼は安心したのか目から涙を流した。 体育教師はキッと僕の方に目を向ける。 「おまえ!何してやがるんだ!!!!」 「ひっ!」 体育教師の恐ろしい程の怒号に、僕は失禁しそうな程驚き、情けない声を上げ、尻餅をつく。 なんで。 なんでここがわかったんだ? 「お前、2組の生徒だな?何でこんなことをした?空に何をしたんだ!?」 体育教師はゆっくりと僕に近付く。 あまりの迫力に、恐ろしく、身体がガクガクと震える。 「な、な、なんで…、ここが…?」 体育教師は小さな万歩計のようなものを取り出した。 「空にも同じものを持たせてある。何かあったときにボタンを押すとこっちのアラートが鳴る。GPS付きだから場所もわかる。空に何かあったときに俺が助けに行けるように」 結城君の方を見ると、ズボンのポケットから同じものを取り出していた。 こっそりボタンを押していたのか…。 「で、お前は空に何をしたんだ?」 体育教師が僕に詰め寄る。 怒りが全身から湧き上がっているように見えた。 「う、うわぁぁ」 殺される…。 そう思った僕は、一目散にその場から走って逃げた。 掴まれるかと思ったが、体育教師はそうはしなかった。理由はわからないが、とにかく僕は怖くて、急いでその場を走り去った。

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