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第4話

自分たちは性処理玩具でしかないと、ザナークは吐き捨てるように言って、まるで実感がわかない様子の鹿狩に説明をする。 学校の話やら家族の構成を聞くと、上流階級と呼ばれる種族に思えた。犯罪者になったので、縁を切られたと語るが、そこにも絶望も何もなかった。 「好きでもない男に好き勝手される。アンタもそんなの耐えられないだろ」 ザナークの言葉に鹿狩は首を傾げて考え込む。 「.....いや、どうだろうな。人権無視といえばそうだろうが。別にこれから好きになるような男もいないだろうし。病気にならないなら、構わないな」 変な感染病だけは勘弁だと告げて、因果応報でしかないだろうと呟く。 「諦めてるのか?」 絶望でもなく事実を淡々と受け止める ようとしている様子に首を傾げる。 実際に何をされるか想像できないのかもしれない。 「前向きだけど。俺がオークションとかで売れるかもわからないけれど、孕ませて貰えれば子供も産める」 「子供産みたいのか」 意外な言葉に、目を見開いて相手を見返すと、目を伏せてこくりと頷く。 「せっかくだし」 「せっかくとか、意味わかんねェけど」 鹿狩の言葉に世間知らずだとしか思えず、ザナークは呆れたような表情を浮かべた。 「子供が産めるのは、ホントに奇跡みたいなことだし、活用はしたい」 大真面目な様子にザナークは世間知らずの烙印を押す。 「アンタはさ、処女なのか」 「いや、言っただろ。レイプ犯だと。1度だけ経験はある。抱く方ならば、もう少しはあるかな」 「はっ?!マジで」 驚きを隠せない様子に、鹿狩は頷く。 「女性と付き合ったことは、ある」 女性はオメガよりも希少種である。ベータでもなかなかいない上に、大体はアルファと結婚するか、金持ちのベータ同士でくっつくかどちらかである。 「まあ、そんなのは周囲は許さないがな。仕方が無いことだ」 「悔しくないのか」 「.....秩序がある、と言われたな。まあ、俺には幸い才能もあるし、別に他の性をうらやむこともない」 変わり者なのだと決めつけてザナークは、自分よりもひと回り以上大きな身体を見返す。 「1度マワされれば、気持ちは変わるぜ。ここにいるヤツらはみんな、人生が終わりだと絶望してる」 「ザナーク、お前はどうなのだ」 「俺は慣れてる。絶望なんかしない。ゴミだめで育ってきたから、場所が変わっただけだ。抑制剤を貰えるってとこは、こっちのがいいかもしれないな」 身体をおさめる薬すら手に入らずに、苦しむことは無いからとザナークは告げて、お前は効かないなんて辛いなとしみじみ呟く。 「その時は、迷惑をかけるかもしれないな」 「全然想像つかないけど、まあ、手伝いくらいはしてやるよ。オメガ同士の性交はご法度なんでね」

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