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※第7話
ストレッチャーに手足をベルトで固定されて、痺れる頭の中で鹿狩は思考をめぐらせる。
これは、この施設の日常で彼らは何の罪悪感も持ってはいない。
「ぜんこう、とやら.....は、みな、おなじことを、しているの、か」
全身から汗が吹き出すような熱のめぐりに、顎を少しうわぶれさせて、眉を寄せる。
それでも、薬を調達できない人々には救いなのかもしれないが、この扱いは聞いていたよりも実際の方がひどい話である。
拘束ベルトから解放されないかとグイッて力を込めるが金具はしっかりしてるようで、びくともしない。
「暴れるなよ。悪いようにはしないし、オマエらには慣れたことだろう」
ストレッチャーを押していき、立派な応接室の扉が開かれる。
鼓動がどくどくと早鐘のように胸を打ち、中枢から這い上がるような熱に、下肢が疼き始める。
「.....んッ、は.....ッ、なにを、させる、んだ」
頭の中にモヤがかかったようで、思考が途切れそうになるのを鹿狩は首を左右に振って遮る。
「オマエだってアルファに抱かれて、渇きを癒したいだろ」
ここに、アルファが来るのか。
鹿狩家の長男として社交界には、何度も顔を出している。
そこまで地位の高い人間が利用するとは思えないが、身元がバレたら、色々と終わるな。
「.....ッ、めか、くし、してください.....。しらないひと、と、するの、こわい」
明らかに嘘であるが、震えて演技をすれば、看守は少し考えこむと、ストレッチャーに設置されている薬箱から包帯を取り出す。
「顔は良いから、いささか勿体無いがな。落ち着くなら、目隠ししてやろう」
ぐるぐると目を包帯を巻き付けて覆っていき、しっかりと固定する。
ギイと扉が開く音がする。
看守が向き直り頭を下げると、スーツ姿の男は中に入り近寄ってくる。
「いらっしゃいませ。遠野様」
遠野。
経済界のトップ3に名を列ねている遠野の家系のものだろうか。どちらにしても、顔を隠せて良かった。
「今日は随分と珍しいタイプだな。しかし、美しい」
手袋を嵌めたまま、鹿狩の肌をゆっくりと触れる。
「んッ.......」
熱をもっている身体はそれだけでたまらず身震いをして、たらりと股間の隙間を濡らす。
「顔が見えないが?」
「まだ、入所して間も無く、怯えるもので。視界を奪われているのもまた一興かと」
ストレッチャーのボタンを男が押すと、固定されている脚が、開かれるようにストレッチャーが変形して駆動する。
「なるほど、あまり使われた形跡もないし、綺麗だな」
手袋を外すと品定めをするように指先を、濡れたあわいにはわせる。
「ッ、く、ッ.......」
ぞわぞわと背筋を這い上がるような感覚と、ふわりと香る甘い匂いに脳みそが蕩けそうになる。
「まるで、処女みたいな反応だな。身体つきに似合わず可愛らしい。寄付をいつもの倍額出そう。半日楽しませて貰うとするよ」
くぷっと指先が無遠慮に内部に入りこむ感覚に、鹿狩は内股を震わせ次第に思考が覚束無くなるのを他人事のように感じていた。
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